本書は,日本フェアトレード委員会による翻訳本であり,コーヒー豆生産国の経済危機が,市場構造によって生み出され,再生産,ないしは悪化させられている事態を浮き彫りにし,構造的な転換の必要性を訴えたものである。<br> このような構造的な搾取は,コーヒーだけのことではないだろう。この世のあらゆる取引に存在するものである。もっといえば,自由世界における弱者と強者のあらゆる関係に存在するものである。人道的な立場に立てば,あるいは,西洋的な博愛の精神に立っても,日本的な豊穣と幸福の精神に立っても,問題視すべきである。もっといえば,合理的な精神に立ったとしても,問題視すべきである。なぜなら,この構造が続けば,いつしかコーヒー市場は破綻し,われわれはコーヒーを飲めなくなってしまうからである。<br> いい本でした。
フェアトレードなど普段はあまり考えない問題。<br>コーヒーショップのメニューをよく見ると、<br>フェアートレードコーヒーが売っていたりする。<br>競争と共生、考えるべきことはたくさんあると思います。
近年、中国の需要拡大からブラジル・アルゼンチンで大豆モノカルチャーができつつある、危険ではないか?<br>と調べているうちにコーヒーに突き当たった。毎日死ぬほど飲んでいるコーヒーは、私の知らないうちに崩壊していた。<p>この本は、コーヒー生産国における農家の惨状、品質の低下etcを短いページで雄弁に語ってくれます。<p>たかだか100ページそこそこですが、「何」が原因なのか、「どうなって」いるのか、一方で焙煎業者はどうか、<br>「どうすべき」か、など、疑問を隅から隅まで片付けてくれます。文章は明快でわかりやすく、よくまとまっています。<br>一つ一つを論理的に、また数字的に示してくれます。「信頼のおける」文章です。非常に中身の濃い本だと思いました。<p>一方で最終章の部分に載せられた、生産国はどうすべきか、焙煎業者はどうすべきか、などの具体的な提言は、<br>非常に熱意に溢れたものとなっていて、惨状を改善したいという思いが伝わります。<br>しかし、それでいてそれまでの章の極めて明快な論理に支えられているため独善的になっていないのです。<p>この本は、意外なところで出会った名文だと思いました。そこらへんの新書などよりはるかにいい。楽しかったです。<br>コーヒーの状況についてもよく理解できました。実際に消費者に対しても行動を起こすよう、提言がありました。<br>・・・・・・お金に余裕ができたらフェアトレードを使います・・・・・。