「エス」「咬痕」につづく三冊目です。今回で刑事の椎葉の苦悩はさらに深まり、でも、宗近に向かってゆく心をおさえきれない、そして、宗近の想いにも知らないふりをもうできなくなる…、という、実においしい話です。またまた魅惑的なキャラクターもでてきて、さてどうなるんだ!? と、かぶりつきで読んでいると、突然、「つづく」なんです〜!!!そりゃないぜベイビー! 「エス」「咬痕」が一巻完結になっているので油断してたら、この「裂罅」は次作「残光」とあわせて一個のお話でした。残念。
<br />個人的には宗近の、椎葉を深く想っている描写にぐぐっときました。たまらないです。
<br />二人のエッチシーンも相変わらず彼ららしくて、女々しくなくてステキです。
<br />設定にちょっと納得できないところもあったので(クロちゃんが設定よりも若ぞーに感じるとか、篠塚が役職の割りに普通の人っぽすぎるとか)、星4つと迷いましたが、設定の違和感よりも二人のラブ度が勝りましたね。
ちゃんと読書した気分になれるBLは貴重なのです。<br />文章も的確。行間から緊迫した雰囲気が立ち上ってくるし、清濁あわせのんだ男たちの諦念と狂おしさが実にセクシーに書かれています。<br />高村薫をソッチの方向で行き着かせてしまったようなこの作品、しかもある意味高村薫よりも硬派だったりもして、作者の熱い思い入れがひしひしと伝わってきてたいへん好感がもてます。<br />普通に考えれば次巻で椎葉か宗近が、あるいは両方死ぬのでしょう、でも生きて愛を確かめあってほしい、BL的な浄化をみせてほしいと願わずにはいられません。<br />
新宿署と歌舞伎町が舞台なだけあって、あそこら辺の得体の知れない怖さみたいなものが伝わってきます。
<br />実際のところ、警察の雰囲気は知らないのでなんとも言えませんが、本物っぽいです。
<br />ですが、主人公あたりが常に命の危険があるので、設定だけでいい〜という人には合わないでしょう。
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<br />このシリーズは完成度が物凄く高いのですが、他の作品が…
<br />ほんとになんでなんでしょうね。