松田美優さんの魅力は読後に残るちょっとした後味の悪さだと思うのですが、今回は少しそれが弱かったかな?と思いました。<br />前作の2作品ともドロドロになって、それでも堕ちていくしかないやるせなさが感じられたのに、今回は曖昧な浮遊感のようなものを感じました。それも悪くはないのですが、ちょっと期待していたものと違ったかな、と。<br />主人公である椎名が笹川に逃げ場をなくされ追い詰められていく感じは良かったのですが…<br />暴力シーンも少ないですし、ちゃんと幸せで穏やかなシーンもあるので、初心者向け松田美優作品と言ったところでしょうか。
1作目兄×弟、2作目ヤクザ×風俗店の呼び込み、と来た作者の3作目は教師×生徒。相変わらず骨太でハードな作風ですがやっぱり面白かった。
<br />攻めはやっぱり鬼畜で、乱暴。でも前の2作に比べたら暴力度は低めです。といっても普通のBLに比べたら高め。痛いのがまったくだめな人は
<br />ちょっときついかも。でも、暴力で受けを押さえ込む割には精神的には優しい感じだったと思います。攻めはちゃんと「救いたい」「愛したい」
<br />という感情を持ち合わせて行動を取ってるし。なにより、受けが切なくて、個人的にはとっても可愛いかった。攻めに心も体も追い込まれて、
<br />逃れられない感情を押し付けられて攻めにおぼれていくけれど、攻めのひどさに逃げようとして。でも結局最後は自分の意思で闇に落ちていく。
<br />これを弱さと感じる人はいるかもしれないけど、私は柔らかさだといいたい。何しろ「聖母」ですから。