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| 戦争廃墟
(
石本 馨
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「悲惨な戦争」というありきたりな言葉を超えて、美しさを感じてしまうのは私だけだろうか。たしかに廃墟は物悲しく、父から聞いた戦いの跡地を目にすると「このような場所で」と声もないものがある。しかし、それ以上に「父はここにいて、ありし日のひと時ひと時を生きていたのだ」と実感させてくれる。写真は常に実体に迫る。そして写す側の思いが強ければ、その裏側から時を超える感動を伝えてくれる。 廃墟の本を探していてたどり着きました。
<br />廃墟ものの戦争遺跡版とでも言うべきですが、とにかく写っている施設が廃墟ものとしてもレベルが高く、また独特の凄さと迫力、美しさがあります。あえてリアリティーにこだわったようですが、それが戦争にリアリティーを感じられない世代へ向けてのメッセージのように感じました。とにかく驚きの連続。廃墟写真に新たなジャンルを切り開いたといえるのではないでしょうか。文章も随所にあり、また元特攻隊隊員の語りもあり、戦争廃墟の持つ深い意味合いが伝わってきて、感動しました。
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