タイトルの通り、三洋電機創業者の長男の井植敏氏のインタビューをもとにした、三洋電機についての本です。本書のウリは当事者のインタビューが収められている点です。
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<br />ここ数年、不調な三洋電機ですが、本書を読むとなぜそのような状態になっているかがある程度理解できます。日本の高度成長は同族企業により発展してきた点も多かったと思いますが、時代が変わったため、企業のあり方も変わらなければならないということでしょう。
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<br />今後の三洋電機の改革と復活を見守っていきたくなる本です。
三洋電機創業者井植歳男の長男、井植敏氏へのインタビューと併行して、三洋電機の経営判断の軌跡を厳しい視線で追ったレポート。
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<br />私は社会人一年生のころ、寮の自室の家電品を揃える際に、割安で壊れにくい三洋電機製品に大変世話になった覚えがある。現在のSANYO経営陣としては「脱却したい過去の話」なのかもしれないが、私にとって三洋電機とは、愛すべき日用家電品のサプライヤであり、近時の元気のなさは、陰ながら気がかりで、本書を店頭で見かけると直ちに買い求め、通読した。
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<br />著者は、グループ経営が混迷する(少なくとも、外部からは混迷しているように見える)原因は「古き良き家族主義」と「創業者の遺風」にあるのではないか、と指摘している。
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<br />他国に例を求めるまでもなく、日本でも、事業分野毎に築き上げた商権と技術力(そして、技術を持った従業員の雇用)を活かすために、事業分野単位でグループを解体し、次代を担う有力企業へ明け渡すことに成功した例もあるのだが、現在の三洋電機のように依然創業者色が強いままでは、このような抜本策をとることは難しいのであろう、と思われた。
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