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| 2010年NTT解体―知られざる通信戦争の真実
(
日経コミュニケーション
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タイトルはいかにも衝撃的だが、内容は竹中平蔵前総務大臣が立ち上げた私的諮問機関「通信・放送の在り方に関する懇談会」がNTTやNHKといった法律に縛られて自由に動けない通信・放送の巨人の持てる潜在力を、如何にして国民の利益に繋がる形で有効利用していくかについて約半年をかけて議論した通信分野に対する結果を土台にして、政治家・官僚・NTT幹部の舞台裏での活動や、NTTが2006年12月からトライアル実験を開始した次世代ネットワーク(NGN)構築への道のりと今後の展望、NTTとその対抗軸となるKDDI・ソフトバンクとの葛藤、将来の通信形態として有力視されるFMC(Fixed Mobile Convergence)に向けた通信業界の動きを、ドキュメントとしてまとめた物であり、決して2010年にNTTを解体することが決まっているわけではない。
<br /> 本文もタイトルと同様にやや大げさで、ことさら問題を煽り立てるような表現が目につき、週刊誌の記事のような印象すら持つが、内容自体は公平な視点から記述されていると言えよう。ここで指摘しておきたい事は、読者は一度冷静になり周囲で起こりつつある事実、すなわちiPodやYouTubeによるマルチメディアのユビキタス化が大きな威力を持つという事実、そしてこれらがインターネット発祥の地であるアメリカ発であるという事実に目を向ける必要がある事である。NGNを生かすも殺すも、その上で展開されるアプリケーションのアイデア次第である。そのアイデアは、恐らくNTTもKDDIもソフトバンクも出せないだろう。むしろ、それは我々一人ひとりに課せられた課題である。次世代ネットワークで世界をリードできるか否か、今や我々日本人の力量が試されようとしている。というように、本書を読み終えた直後にレビューを書くと、つい表現が大時代的になってしまうのである。
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