かなり生々しい内容だが、起業した当事者が陥りやすいこととは結局なんなのかが、分かりやすく書いてあると思う。ここまで暴露してしまった上で、自分の失敗から学んで欲しいという、板倉氏のメッセージに非常に感動した。
ベンチャー企業を起こし、成長させ、最後一気に崩れていく様を社長自身が内部の状況と自分の心情を併せて詳しく記している。
<br />時代の波を読むこと、最悪の状況でも決してあきらめない戦う姿勢、図太い神経というゼロから大きなものを生み出すと同時に、細かな部分に気づいたり、社内の組織に対しても意思疎通を図ること、モチベーションを管理することも成長してきた段階から必要になってくるのだと思った。しかも、ベンチャーに就職を志望する人の多くは会社に対して変化・刺激・成長などといったことを求めるので、ベンチャー企業はもしかしたら常に大きくなることを目指し続けなければならないのかもしれない。
<br />その大きくなってくる組織、組織に関わる人々に対する責任の重さは相当なものであり、この本を読んでその重圧を少し覗く事ができたように思う。
<br />会社を経営するにあたって、相当能力の高い人でなければ、表立って組織を引っ張るリーダー以外に、もう一人サブ的な有力な人間が必要不可欠なのかもしれないと思った。
株式会社ハイパーネット社長の板倉雄一郎氏の会社創業から成功、そして1997年の倒産までを描いた本書。自分の失敗体験を公開し、「失敗のケーススタディ」を残す文化を根付かせるきっかけを作りたいとの思いで、書かれている。
<br />本書を通じて、ファイナンスの大切さや、社員とのコミュニケーションの大事さ、時代の流れがビジネスに与える大きさを痛感した。結局最後は倒産するのだと知っていても、そこにたどり着くまでの過程に、読み物としてものめり込んだし、もちろんビジネス書として学ぶものも非常に多かった。
<br />個人的な印象だが、読み終わった後に非常に大きな虚無感を感じた。そこまでの成功を収めた人間が、ひとさじの判断の違いや、偶然の時代背景からの影響によって、全てを失ってしまうのものなのだと、事実を通じて見た時、ビジネスを起す、または起したい立場の人間の視点からは、むなしさを感じずにはいられなかった。しかし、その失敗の過程と向き合えたことで、とかく成功した場面ばかりが注目されがちな、ベンチャービジネスの新たな一面を知り、今後の糧にできたと確信している。
<br />余談だが、別れの際の最後の彼女の一言に、世の中そんなもんなのか、というなんともいえない思いに駆られた。