アメリカに26年間暮らした著者が日本でメディアを通じた情報で語られるアメリカと自身の皮膚感覚の違和感を
<br />「格差社会」という観点から解説した本。
<br /> 「自由・平等・民主主義」の建前と本音の階級格差社会の実態。
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<br /> 「人民の人民による人民のための政治」リンカーンの有名な演説の一節ですが、残念ながら其の人民は白人だけだった。
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<br /> 今は、人口比5%の裕福特権階層に変わって「金持ちの金持ちによる金持ちのための政治」に変わった様です。
<br /> 特に、4章で語られる階級社会に到る歴史の俯瞰が参考になります。 では、なぜ、その階級社会を人々が受け入
<br />れているかのメンタリティ等の解説、「階層社会」が叫ばれている日本との比較提言等、アメリカの実態を知る上で
<br />の参考になる良書です。
アメリカ社会についての書物は数多い。私もこれまで15冊ぐらいは読んでいるが、本書は最高である。
<br /> 著者は、日本での、いわゆる「アメリカ専門家」ではないが、「日本人の眼」を持ったアメリカ人と言えよう。「アメリカ専門家」は、大学教授、数年滞米したジャーナリストなどであり、名前が売れているから本も出しやすいが、アメリカで付き合う相手は同業者、政治家、ロビースト、財界人などであり、「上澄みの」情報と体験で書いているから、真実の姿が分からない。本書に出てくる著者の友達・知人は、色々な階層にまたがっており、「等身大の」アメリカ人の姿を見せてくれる。
<br /> また、著者のアメリカ史に対する造詣は相当なものだ。経済や金融の切り口が入っているので、よく分かる。ただ、本当に読む込むには、読者の方に経済、政治、歴史のある程度の知識が要る。この本は、一行一行の凝縮度が高い。かなりの学識者と見たが、こうした日本人が居ることにうれしい驚きを覚える。これまでの著者のアメリカ生活の卒業論文のような本だから、続編が書けないのではないかという気もするが、この本一冊でも、アメリカの今後を占うには十分ではないかと思う。
<br /> あえて言えば、本著の欠点は、図表、特に地図が見にくいことである。カラー印刷にするか、出版社の方で工夫して見やすくしたら良かったのではないかと思うが、これで星半分減らしても5つ星以上であると思う。
この本にあるデータの扱いと歴史の解釈を理解するには, 社会科学の基礎がないと
<br />難しく思われます. 読み進むうちに" あぁ作者は英語で原文を書いているなぁ "と
<br />おもわせてくれる個所がいくつかありました. そのことをあとがきで自ら言われるのは一寸興ざめです. 昔読んだ東大の先生の社会思想史本を思いだしました.
<br />良い本です.