もうとにかく、シュール! の一言。だって、ジャリおじさん、鼻のあたまにヒゲを生やしてるんですよ? しかも、登場するのはピンクのわにや、青いゾウ。喋る代わりにタイコを叩く人に、青い神様。だんだんジャリおじさんが普通に見えてきます。それでも物語として成立しているのは、ジャリおじさんが黄色い一本道を進んでいるから。様々な不思議と行き交った後、ジャリおじさんが辿り着くのは初めて来たのに見慣れた場所。ラストは読んでいるこっちもホッとします。特筆すべきはその色彩感覚ですね。何かにつけて、いちいち色の名前が出てくるあたり、相当色にはこだわっていると思われます。
はあ?というかんじですが、ずーっと心に残って離れません。だから買いました。この本、A3くらいのサイズだったらいいのになーと思います。絵本というより、各ページが完結した絵画。A4サイズ?にしておくのはもったいないです。幼児用だけあって、文字はすっごく少ないのですが、きちんとしたメッセージあり。私は自分のために買いました。また友達用にも購入し、プレゼントしました。また、甥っ子にみせてやったらまだ字は読めないので読んでやると、その後はジャリジャリ言ってました(よんだらわかります、この意味)。
大竹伸朗に出会ったのはギャラリーでした。作品の全てが好きで、とても憧れていました。本当は画集が欲しかったけど、やはり高価で手は出なかった。そんなとき、著者が絵本を出していたことを知り、この本とめぐり合ったというわけです。絵本という「枠」にはまらない、それは美術という「枠」にはまらない著者の作品と通じるものがあり、とても素晴らしいです。淡々と進むジャリおじさんの旅。大人でも子供でも少しの想像力があれば、この旅を一緒に楽しむことができるでしょう。