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狼と香辛料 ( 支倉 凍砂 )

この物語は経済がどうというものではなく堀田善衛『路上の人』で描かれたようなリアルな中世の生活とその中で行商人として生きていく事がどういったことであったのかという想像を(もしくは憬れを)元に描かれたものである。 <br />もちろんボーイミーツガールものとしても秀逸である。人と共に生きることを選び、そして神と呼ばれるものに成り果てたことに深い孤独抱える狼ホロはとても魅力的だ。女性の持っている男には及びもつかない部分をうまく描いている。「俺は一生孤独に生きていくんだ」と勝手に決心している同士諸君は読んではいけない。人恋しくなる。 <br />作者も、相当な孤独を抱いている人ではないだろうか。 <br />この一巻だけみれば、それはうまく作用している。しかし終盤、主人公が気を失う直前に叫んだ言葉辺りから作者は物語ることを放棄している。ただの妄想に転落するのだ。これは続編にもいえる。故に一巻の終盤以降は自らの想像に委ねた方が無難だ。(個人的には「並列バイオ」のような終わり方がよかった) <br /> <br />後、これを読んだ後に聴く坂本真綾「Lucy」はとてもよかった。

 一番の魅力は、主人公の商人ロレンスと少女に変身出来る賢狼ホロの掛け合い。 <br /> キャリアはあるとはいえ、まだ年若い商人であるロレンスは、歳を経た賢狼であるホロに上手くやりこめられてばかりなのだけど、 <br />言動や仕草が愛らしく、演技だと分かっていても憎めないのが、上手く描写されてますね。 <br /> 加えて、時折見せる素の部分、いじらしかったり、しおらしかったりする時のギャップがまたいいかと。 <br /> ホロが嫌みのない、可愛らしいキャラに、この小説一番の魅力でしょうね。 <br /> もっともホロの可愛さだけではなく、商人が主人公ということで、商売での駆け引きの面白さや、商売にまつわる細かい描写、 <br />今回のキーでもある貨幣の話など、ラノベには珍しい趣向。それだけになかなか新鮮で、これもこの小説の魅力の一つかと。 <br /> <br /> ただ驚くほど面白いというわけではないかなぁと。 <br /> 話はまとまっていて、オチも綺麗だし、描写も申し分なく。逆に言うと、まとまりすぎている感がしないでもない。 <br />荒削りなところがないので、これからも変わったモノを書き続けられるかというところ。

このラノベは、会話を楽しむラノベだ <br />それ以外の要素は薄っぺらいし、ベタである <br />経済というのをラノベに取り入れようとした努力は、素晴らしい <br />しかしやるならもっと詳しくやってほしい <br />ラノベだからこれでいいのかも知れないが <br /> <br />至極個人的ではあるが、この作品は続編を出さず、一巻で完結していた方がよかった

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