沖野修也氏によるDJの選曲というものについて述べられた本。
<br />よく分析を試みようとしている。しかし、まだ言葉にできていない部分が多いと思う。
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<br />少なくとも沖野さん自体は紛れもなくプロのDJであり、すばらしい選曲家ではあるが、では彼のようなプロとアマのDJの違いはどこにあるのか。今私が思う中では聞いてきた曲の蓄積量(ジャンルの幅の広さ×深さ)しかないように思う。私の周りのDJを見る限りでも正直この本に書かれてる内容だけだとよい選曲のできるDJはかなり多い気がしてならない…
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<br />ただ、この選曲する行為を文化として残そうとする沖野さんの姿勢は評価されるべきことだろう。
ある時代までは、音楽を含め表現者が自分自身の創作物を”編集”
<br />する行為が、明確には言われなかったが、或る程度は確かに行なわれて
<br />いたと思う。しかし、世の中に氾濫するように様々なものが大量に出て
<br />個人の自由でそれをセレクトできる時代になってからは、表現者
<br />(ここでは音楽家やデザイナー)は既に素材を提供するだけの立場に
<br />なりがちである。そんな中で表現者自身も気付かなかった新しい
<br />切り口や聴き方、あるいは着こなし方を提示してくれるセレクター、
<br />エディター、コーディネーターという職業の面白さ、そして重要さを
<br />改めて認識できる面白い本である。当然、クラブ・ミュージックや
<br />音楽好きだけではなく、様々なジャンルの方々、興味がある人々にも
<br />読まれるべき一冊です。選ぶ=セレクトという行為の創造性の高さを
<br />発見できることでしょう。いやー、良い本を買ったと思います!
主題が「選曲」とある通り、DJテクニックの解説本ではなく、あくまで「選曲」についての考え方、基礎の基礎を解説する本です。最近はMP3やiTunesの普及で、曲単体を組み合わせて持ち歩くことが多いと思います。間口が広いだけでなく、日常に実践する機会もあふれているわけです。
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<br />特別なコダワリがあるわけではなくても、繋げる曲同士のイメージだったり、曲調だったりを意識し始めると、フラストレーションが溜まるわけではないのですが、自然に色々と違う曲との連携を模索し始めて、次第にこり始めて、はまってしまう。選曲にはそんな魅力があります。
<br />そして、自分が持っているリソースを元に遊べるわけですから、選曲はリーズナブルでセンスの問われる趣味、嗜みでもありますね。
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<br />一度やってみて、その魅力を感じたら、この本を手にとって見ると良いと思います。更に世界が広がりますよ。