南澤氏をギターの師と仰ぐ人も多いであろうし、弾かなくても氏の新譜、じゃ文字通りだな、もといニューアルバムのつもりでこのシリーズを買う人も多いと思われますが、これはなかなかの力作。フィンガースタイルの演奏に興味が無くてもクラシックファンなら一聴の価値があります。ちょっとびっくりすると思いますよ。南澤氏本人による演奏録音(!)の模範演奏を聴いてると、表題のショパンの曲など、もともとギター曲なんじゃないかって一瞬思っちゃう出来。付録(というレベルを超えてますが)のCDは模範演奏ということで、楽曲としての完成度よりも聴きやすさ判りやすさ優先で淡々とした演奏なのが基本方針の様ですが、この曲についてはトリルの再現などこなれた感じを受けますね。アコースティック・ギター・マガジンVol.27にこれのロングヴァージョンが収録されてますので、興味がある方、並びに氏のファンはこちらも合わせて聴いてみるのも良いかと。スローな曲だけど結構難しいっすね。基本が楽譜集なのでリアルな本屋で手に取る機会は滅多に無い本ですが、この内容でこのお値段はホントお買い得だと思います。
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南澤氏の「ソロギターのしらべ」シリーズについに、クラシック名曲集が登場した。いつものようにCD付で絶対お買い得。南澤氏はアコギを使った編曲、演奏が専門で、いままでポップス、ロック等がメインだったが、「エリーゼのために」など誰もが知っているピアノからモーツアルトの交響曲まで独自のアレンジでアコギ1本で再現している。評者には、ピアノから普通にアレンジした曲よりも、南澤流に自由に味付けした曲のほうが断然良い。ヴィヴァルディの春、モーツアルトのアイネクライネ、ビゼーのカルメン、エルガーの威風堂々、ヴェルディのアイーダがベスト5かな(但し演奏はとっても難しい)。あと一押しは、スメタナのモルダウ。音数が少ないシンプルな編曲なのに、アルペジオから浮かびあがる旋律に心から感動できるのはなぜだろう。きっとあなたもギターを手にとって確かめたくなるのでは。