アコースティックギターの名手、岡崎倫典によるCD付アレンジ譜、フィンガーシリーズの第3弾です。岡崎氏のアレンジは低音弦の使い方と多用されるスラー、シンコペーションに特徴があるように思う。シンプルにみえるアレンジでも、どれも実際に弾きこなすのはかなり難しい。エマノンさん指摘のチェンジザワールドは、すごくかっこよいアレンジだが、やっぱりとっても難しい。この編曲はアコースティックギターマガジン23号の特集で4人の名手の饗宴としてアレンジされたもので、特に力が入っている。
<br />この曲集のなかで、私のおすすめ、一押しは、美空ひばりの名曲「川の流れのように」。いくつかみたこの曲のアレンジのなかでもこの岡崎編曲が抜群。アコギ(スチール弦)なのに、日本人の心に響くギターの音色。もちろんクラシックギターで爪弾くのもいい。CDとタブ譜を頼りにすると案外弾きやすく、その意味でもうまくできたアレンジだと思う。ちなみに、氏のアレンジはJポップがいい。島唄、贈る言葉、ピンクレディのUFOもぜひCDで聴いて、ギターを手にとってチャレンジしてほしい(正直まだまだ弾けません。でもCD聴くだけでもお買い得)。
新作はより難しくなって登場(笑)南澤大介氏の譜面集でCクラスがこちらではBって感じですねえ。氏のアレンジは指さばきについても良く考えられているんですけど、要求される技術も高いっていう印象です。その分、もはや付録の、じゃないですね、氏のニューアルバムと言っても過言ではないCDの聴きごたえは今回も十二分。エリック・クラプトンのカバーの表題の曲なんか、聴いててため息が出ますねえ。音質は前作より向上してます。聴き取りやすさよりも楽曲としての完成度優先みたいですね。技術的なコメントも必要最低限だし、このシリーズは読者を甘やかさないのが方針の様です。ギター弾きでなくてもフィンガースタイルが好きなら、この値段で氏の新譜が買えると思えば(文字通りの意味か、歴史は繰り返すなあ)お買い得感は素晴らしく高いです。推奨盤。
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