著者は最初に「幅広い読者層に向けて執筆した」と断りをいれている。この世界に疎い「幅広い読者層」の片隅にいる私にとって、ここで紹介された作品はヘェの連続である。昔の作品(特にドラマ)にはずいぶん思い切った題名や内容が多いなぁと妙な感心をしたり、放送禁止歌の世界と同じで結構適当(森達也著 放送禁止歌を読んでみてください)なんだと思ったりもした。
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<br />メディア論みたいなことを偉そうに書かず、マニアが書いた一般向けの解説書という感じで作品の紹介に徹しているのも良い。
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<br />紹介された作品で意外だったのは「妖怪人間ベム」。私はこの作品が大好きで何度も再放送を見ていたのだが、今でも完全な放送禁止にはなっていなかったのがちょっとした驚きだった。あと、それはないんじゃないの、と突っ込みを入れたくなったのが「パーマン」。あんまりである。
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<br />前から疑問に思っていたのだが、何故、映像作品には、文庫本の巻末にあるように「本書中には、今日の人権擁護の見地に照らして、不当・不適切と思われる語句や…作品発表時の時代的背景と“文学性”を考え合わせ…」と同じように「…“映像性”を考え合わせ…」と表示して再放送やDVD化することをしないのであろうか。それに値する作品はあるはずである。文字より映像の方が一般に及ぼす影響が大きいにしても疑問である。
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正直、星3つでもかなり甘いなと感じてます。しかしこれだけの量の作品を調べたと言うことでこの評価。
<br />まず、作品一つに対してレビューが2ページでは少々物足りないと思います、「大全」なので「封印作品の謎」のように難解にする必要は無いのですが、もう少し掘り下げても、という気がします。そして、その作品にしても「クレヨンしんちゃん」や「アイアンキング」など別に封印されて無い作品を載せるのはどうかと思います。
<br />何より、「サンダーマスク」や「魔神バンダー」などを「原版が紛失したという噂」だけで放送できないなどと片付けるのは、公の場の発言にしては乱暴という印象も受けます。
<br />その他、いろいろと指摘する点はあるのですが、長くなるので・・・・
放送禁止用語大好き人間としては、チェックしがいのある本です。
<br />ただ、下ネタ系が好きな筆者とは、趣を異にする部分も多分にある
<br />書物ですが。
<br />ただ、その当時に放送できたり、制作できたものが後世に遮断され
<br />たり、曲断されたりする源は、「●権」で片付けられるべき仕切り
<br />で本当にいいのだろうか、と首をかしげざるを得ないです。
<br />「人●的配慮」は、誰に向けての配慮なのか、実際わからない時って
<br />多いですよね。そんなことをフト感じてしまうような事柄が続いて
<br />記載されています。あんな名作に、とか、あんなアニメも・・・
<br />なんていう楽しみ方もできます。
<br />あと、表紙も、人を食っていていいですね。70年代初頭的な趣を
<br />感じます。昭和40年代を懐かしく思い出されます。
<br />いずれにしても、様々な事件(?)を2ページずつにコンパクトに
<br />まとめられていて、非常に判りやすく、読みやすかったです。
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