結論から言うと、内田氏のあとがき(身体的関係性は、性的なものではなく、知性に支えられる)のみ読むべし。
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<br />内田氏の本は、分かり易いものが多い。対談なら、なお分かり易いと期待したが、少し違った。
<br />内田氏の分かり易さとは、書き言葉のリズムに乗った、分かり易さなのだ。構成を含めて。
<br />口語では、そのリズムがない。「悪い意味での評論家(外野から、ただギャアギャア騒ぐ)」的印象しか残らなかった。
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<br />だから、書き言葉であるあとがきから、修練された内田リズム(内容も文体も)が聞こえてきて、そこだけがよかった。
「おじさん的思考」の内田氏と「オニババ化する女たち」の三砂氏によるトークバトル(?)。 はじめのうちは議論がかみ合っていて面白いが、だんだん熱が入ってはしゃぎ気味の内田氏に対し、三砂氏が一歩引いて受け止める感じに変わる。'男は永遠に少年’なんだろうか。また三砂氏の落ち着きは、豊富な海外経験もさることながら、中学時代すさんだ学校内外で世話役として問題解決に当たっていた経験も大きそうだ。
この本の短所
<br />1、内田氏の発言にところどころ若者バッシング的なところがあるところ(根拠がはっきりしない「いまどきの若者は」論がある)
<br />2、三砂氏の「オニババ」理論。要約だけなのでなんともいえないが、理論的に妥当なのか、産めない人に対する配慮が足りないのではないか、などの疑問を持った。
<br />3、武道の話が少ないところ(もっとも、内田氏の専門分野でないから、やむを得ないか)。
<br />この本の長所
<br />全体としては、興味深い内容の対談であること。学校教育(たとえば、学校のクラブ活動のメリット、点数化に対する疑問、など)、ブラジルなどとの比較など、「女は出産、男は武道」のキャッチフレーズどおりではないが、それ以外のことを題材にしたところが結構良かった。
<br />結論
<br />長所星5つ、短所で1つ減らして、星4つ。