99年の本解散で「伝説」となった聖飢魔II。その伝説を語らんとする筆者の意気込みとは裏腹に、自爆的暴露本に終わってしまっている感じを受けた。ファンとしてよりも、成功したBandの裏話を知りたい、音楽業界の実情を覗きたい、そんな好奇心で読んだ方が、楽しめるかも知れない。構成員及び関係者の「今だから言える」証言の数々には興味深いものもある。だが、愚痴や言い訳ととられても仕方がないような発言も多い。それらを、プロ故の苦悩と葛藤の表れ、とすんなり好意的に解釈させるには、筆者の客観性や構成力といった技術が不足しているようだ。そのような技術以前の問題として、句読点や接続詞の使い方がおかしく、読み辛い。証言の記述の前に発言者を明記する、大経典の収録曲一覧には、作曲・作詞も書く、といった配慮がされていれば、もう少し読み進みやすいものになったのではないか。
個性と才覚が突出した存在は既存の業界感覚では持て余してしまう。<br />それが良く分かる。<br />彼等の本質は王道のentertainmentでありながら、歩んできた道は茨の道だった。<br />外見に惑わされた市井の人々と、本質を見抜いた人々との葛藤の歴史書である。<br /><br />誤植等の不備はあるが、一読して損はない。<br />個人的希望だが、復活祭オンリーの読み物やMC抜粋本も出して頂きたい。
聖飢魔2地球デビュー直前から解散、再結成まで、今まで語られなかった裏話のオンパレード。聖飢魔2とは、どんなにユニークでパワフルで途轍もないバンドだったんだと痛感する。各構成員の生の声だけでなく、聖飢魔2を取り巻く人達の声も収録、「嘘がない、正直やなあ」というのが率直の感想です。
<br />個人的には、ジェイル大橋やルーク篁がプロデビュー前の聖飢魔2とどう関わっていたのかとか、ジェイル大橋の脱退、USAでのCATS IN BOOTS〜帰国までの深く遠い苦難の道のりが語られた部分が非常に興味深かった。ジェイル大橋と言えば、今現在の大人しくてどことなくちょっと影がありそうで、かつセクシーな低いトーンの喋り方とは裏腹に、当時はもう相当なヤンチャだったと思うが、実は「音楽」に関してはどれだけ誠実で本物を追求していたのか、また、その思いと現実との狭間でどんなに苦しみ葛藤していたのかが、この本から痛いほど心に染みわたってくる。当時はキワモノ扱いされたいたが、ハードロックとして最高級である第3教典から聖飢魔2を聴き始めて本当に良かったと思う。俺たちは間違ってなかったと確信できた。大橋さん、ありがとう!あなたの音楽は当時からちゃんと俺たちの中に届いていましたよ。