浅田次郎氏、極道時代のエピソード集第2弾。
<br />第1弾と比べると、脚色は増したように思えます。
<br />が、その脚色も時に血沸き肉踊り、時に艶っぽくて
<br />読む者を飽きさせません。とても痛快です。
<br />これほど主人公(次郎氏)に
<br />自分を投影して読んだ話もここ暫くありませんでしたよ。
<br />殺った殺られたの極道話ですが、読後感も爽やか。
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面白いですね。それと浅田ファンにとっては、ははぁ~、と思い当たるエピソードが目白押しです。きんぴか、霞町物語、プリズンホテル等の原型のような話が次々と披露されていてもう一回読み返してみたくなります。エッセイとしては「勇気凛々ルリの色」というこれまた面白いシリーズがあるのですが、「極道放浪記」シリーズの方が刺激が強いです。それにしても病み付きになってしまいます。浅田ファンには、お勧めです。
唐突ですが、浅田次郎先生は本当に凄みのある文章を書きますよね。もちろん、実際の体験にないことでもすばらしい文やプロットをおつくりの先生はたくさんいますし、浅田先生も体験したことかいているということではないのです。壬生義士伝など、そうでしょう?<p>ですが、この本で浅田先生は、実際の体験を出来うる限り戯画的にさらけ出しているのに、まだちっとも語り尽くしていないことが見え隠れする。もしかしたら浅田先生と同じ世界に生きている方が聞いたら失礼な表現かもしれないですが、奈落の、光が底に行き着かずに消える暗がりをガラス越しに見るような話が、一巻と合わせてみると目白押しです。ぞっとするほど陰惨な現実が想像もつかない姿をして存在することを感じます。人生の深みだとか、世間の裏表を渡り歩くだとか、そんなことばでも奇麗ごとでしかない、そんなものではない世界が実際に手に届くところにある。恐怖ではないですか。その恐怖を現実に生きてきた体験談がつづられているのです。みずから奈落にガラスなしではまり、逆にはめてきた事実を提示している。<p>ただの楽しい読み物として読むにも十分楽しいし(もしかしたら浅田先生の望む読み方のひとつかもしれません)、ノンフィクションの体験記として自分の現在の場所に照らし合わせるもな本だと思います。ただ、読んでいて、浅田先生の言う通り、『事実は小説より』本当に『奇』=奇妙・怪奇なのだということを、少なくとも頭の中では理解出来る気がしました。