このテキストは主流であり、ポピュラーなものですが、
<br />課がはじまってまもなく「ほんの 気持ちですが」などという
<br />日本人独特の感覚が出て来ます。
<br />それをどのように日本語でわかってもらえるのでしょうか?
<br />対訳本や日本の文化を知っている生徒にはわかるかもしれないが、
<br />まるっきり日本語を日本語だけで勉強しようと考えている生徒には
<br />些か突拍子もない(とはいえ、生徒は日本人ではないのでそれすらわからず
<br />言葉の切り売り的に覚えて行くのだろうが)テキストであると思います。
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<br />ただ、これが主流である、ということこそ日本語教育の現状なのでしょう。
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<br />悪いテキストだとは思いません。我々が外国語を日本語で学んできたような
<br />ことと同じ、というだけの話しです。即ち、英語の感覚の解らない、日本語を訳した英語を話して英語を話していると思う日本人(ここまで言うと言い過ぎかもしれませんが)と同じ現象がおこっても仕方の無い、という感じです。
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<br />対訳が悪いというのではなく、それは生徒が選んでどちらで学びたいかを決める事、なので対訳方で勉強したい生徒には対応可能なテキストで、早く日常表現を使いたい生徒には良いテキストです。
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<br />ただ、日本語だけで学びたい、と思って居る生徒には不向きです。
ドイツでこの教材を使って教えています。1課を2回(4時間半)のペースでやっていますが、流れが自然にできているのでスムーズに授業が進みます。練習問題も充分載っているので教室で活用しています。宿題は自作(媒体語の書いた物)のプリントと『書いて覚える・文型練習帳』を使っています。
日本語教育では非常に優れていると言われているこの本ですが、実際に使いやすく(教えやすく)、学習者にとっても一つ一つ整理しながら進めていけるような工夫もされています。また各国語で書かれた文法解説本を合わせれば一人での学習時に役立ちます。