待ちに待った新刊。
<br />さわりの部分を、OZmallのサイトで、毎週連載していた。
<br />次の回が待ち遠しいくらい、「読ませる」内容だった。
<br />だから、本が届いてすぐに開封して、一気に読んだ。
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<br />ここまで書けるほど、彼を駆り立てたものは何か。
<br />それを考えれば考えるほど、想像したくない答えが浮かぶ。
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<br />本としては、
<br />著者自身、まだまだ書き足りないような印象が残る。
<br />この一冊に納めるために、おそらくは、原稿を大幅に削ったのではないだろうか。
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<br />何かを問いかけるわけでもなく、問題提起をするわけでもない。
<br />しかし、文章の訴える力というものを、余すところなく示している。
<br />己の血をインクにして、書いた文章の重みなのだろうか。
<br />ゆえに、フィクションです、という最後の断り書きが重い。
<br />これはフィクションなのか?限りなくフィクションに近い真実なのか。
<br />それとも…。
<br />
<br />多くのサイバラファンは、どんなふうにこの本を受けとめるだろうか。
<br />いや…そんなことはどうでもいいかもしれない。
<br />きっかけは西原理恵子氏であっても、
<br />この本は、鴨志田穣という一人の人間の生き様が書いてある。
<br />のたうちまわって、苦しんで、彼のたどりついた世界が
<br />ありのまま書かれている。
<br />この境地に至ったのはなぜなのか。
<br />知りたいと思うのは野暮かもしれない。
<br />わたしたちは、作品を通して著者を知るのだから。
<br />知りたければ、作品を読むしかない。
ご存知,かもちゃん(西原理恵子の元夫)が酒で血を吐いて,精神病院の閉鎖病棟で過ごし,そして帰宅するということについての私小説です。この小説はフィクションですとありますが,嘘はついてもほらはふけないかもちゃんのこと,多分大体は起こったことなのだろうなと思いながら読み進めました。
<br />
<br />正直な所,この著者のことがずっと好きではありませんでした。文章はほんとうに下手だし,男の甘え全開の態度といい,体験を文章に昇華できていない感じがもどかしかったのです。
<br />本書では文体は相変わらずなのですが(木を倒しても切り株はひっくり返りませんよとかの過ちも多数),過不足無く全てがあらわされているように思いました。そのことに祝意を持ちました。
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<br />ただただ,心身をお大事に過ごされてください。
<br />帯のリリーフランキーさんの言葉通り,貴方はなんだかんだ言っても幸せな男です。
鴨、身を削って書いたのが、これかい!!西原理恵子のだんなじゃなかったら、読まんかったわ、金返せ!と思いつつ、実は著者の本は全部読んでます。「うーん、今度の作品もあんまし巧くなってないじゃん。も、ちっと頑張れよ。」と、駄目息子の書いた作文に目を通す親心に近い気分です。だめだめな男に寛容過ぎる女が余計こういうタチの悪い男の我が儘を助長させるので、許しちゃいけない、と思いますが、取り敢えず、娘にはこういう男に近づいてはいけません、息子にはこういう男に育てないように、とある意味、子供への教育の一環として読みましょう。ま〜、馬鹿な子ほど可愛いもんですが。鴨、今度こそ頑張れ。