高等学校で学校司書をしています。生徒たちが好きな作品とブックガイド等で紹介されている良い作品とのギャップを痛感し、自分の選書にも自信を持てなくなっていました。「待っていたのは、この本だ!」夢中になって読みました。ここには、生徒たちが大好きな作品がちゃんと紹介されています。喜んで手に取り、彼らの心にしっかりと響くであろう作品がたくさん紹介されています。これから私が読んで、彼らに手渡していきたい作品も見つかりました。金原先生ありがとうございます!ぜひ海外文学編も出版してください。楽しみに待っています♪
大人になってからだって、おもしろい本にはたくさん出逢えるでしょうが、中学生や高校生の頃に掛け値なしに「好き」と言える本に出逢えたなら、それはとても大切な、一生の宝になると思います。
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<br /> この読書案内にはわたしが高校時代(…って、まだぎりぎり高校生なんですが)に楽しく読んだ本、これからも中高生(に限らずいろんな年代の人にも、ですが)に読んでもらいたい本、がたくさん含まれています。もちろんわたしが今から読んでいきたい本もたくさんありました。
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<br /> あとがきに「子どもが親や教師に読ませたい本の案内としても読める(どちらかというと、こちらのほうが正しい使い方だと思う)」とあるように、今の中高生に限りなく近い目線で選ばれたこの100冊の中から、かけがえのない読書体験のきっかけとなる1冊を、探してみてほしいです。
この本で紹介されている100冊のセレクトは、この手のブックガイドとしてはとても新鮮だ。
<br />ふつうこういう読書案内って、夏目漱石とか太宰治とかの「名作」が必ず入ってるもんでしょう(この本のそばにあった同系統の本にはやっぱり入ってた)。それがこの本には一切ない。そりゃたしかに「名作」は読めるなら読んだ方がいいに決まってるが、これほど読みやすい小説が氾濫している時代においては、決して読書の「入り口」にはなり得ないだろう。
<br />ここで紹介される本は「大人が子供に読ませたい本」ではなく「現在、ティーネイジャーが楽しんで読める本」を基準に選んである。しかも幅広い年代が楽しめる素敵な本ばかりだ。
<br />私の好きな作家もジャンルを問わずたくさん紹介されている。あさのあつこ、乙一、秋山瑞人、舞城王太郎、桐野夏生、角田光代、佐藤多佳子、森絵都、三浦しをん、川上弘美、金城一紀、荻原規子、藤野千夜、梨木香歩、町田康……などなど挙げるときりがないが、ね?いいセレクションでしょ? ライトノベルもたくさん紹介されてるし、ノンフィクションでもわたしの好きな『調理場という戦場』をはじめとしていろいろなタイプのものが紹介されてる。このほか絵本や短歌など取り上げられた本のジャンルは幅広く、よく100冊に収められたなぁと感心してしまう。一冊一冊に丁寧な紹介がされていて、私自身読みたい本が増えてしまった。
<br />「大人が子供に読ませたい本」のセレクトではないかもしれないけど(わたしは読ませたいけど)、中高生の視点に立てばこれほど良質なブックガイドはないだろう。学校の司書さんとかにぜひ読んでほしいなと思った。