この本で一番重要なのは、伊藤正則氏が巻頭インタビューではっきりと「NWOBHMはパンクに対してのカウンター・アクションではない。」と明言している事だと思う。 <br />彼のこの発言は、NWOBHMの起こりを目撃/体験した人間として、今までの誤ったロック史の責任を取ろうとする気概が見て取れるし、「今までは俺もそう思っていた」と告白する彼の勇気と、メタルに対する思いが伝わり感動的ですらある。 <br />本書の帯にある「〈HR/HMが好き〉ということは声を大にしていってほしいんだよ」と言う正則氏の発言も、メタルを１０年、２０年聴いてきた人間からすれば胸に迫るものがあるのではないだろうか？ <br />しかし内容はというと、正直浅い。 <br />だが、タイトル通り『HR/HM STANDARDS』としての役割は充分果たしていると思う。要するに、入門書としては非常に面白い。名盤５００枚をカラー掲載しているところも見易くて嬉しい。ビートクルセイダーズのインタビューは・・・？な感じだけど。 <br />個人的に面白かったのは「ルーツ・オブ・ハードロック/ヘヴィメタル」のページ。 <br />あとは、グラインドコアのページが他の原稿に比べて勢い任せではなく読み物として面白かった。少々高い気もする本だけど、損をした気はしなかった。