個人的な感想では北方先生の本は多少ネガティブな所があるようで、そこはいい反応でもいいんじゃ・・・、みたいなトコでもわざわざマイナスの方向で表現されています。
<br />人っていうのは良い事ばかりを言われてもピンとこないもので、逆に悪い事を言われると「何を」と頑張れたりタメになったりします。
<br />やはり、北方先生もその延長上じゃないかなぁと思います。
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<br />もともと、そうなのでこの本を見終わったとき英雄の去り方が呆気ないと、思いました。(うじうじしてる死に方より、潔い方がいいですけどね^^)
<br />関羽雲長の死を追うようにこの巻では次々と英雄が去っていきます。
<br />それと同時に何か大切なものへの結束が固まっていき、通常では得られない物が得られたかと思います。
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<br />やはり、そこら辺は北方謙三です。物事の代価が素晴らしいと思いました。
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<br />でも、今までの様な感じで読むと何かが違います。
<br />重い気持ちで味わった事のない涙が流れました。
北方謙三の三国志は、それぞれの国が平等に描かれており本当に面白いのだが、やっぱりこの巻の最も面白く、切ない場面は曹操の死だと思う。三国志は曹操と孔明の二人が主人公の話だと自分では認識しているが、私は曹操の方が好きである。その曹操がこの巻で死んでしまう。かといってこの後巻が面白くなくなるという話ではなく、たった四半世紀で中国の3分の2を取り、また戦争の勝率8割とも言われる人生の勝者的な存在である曹操が自分の死と向き合う様子には、本当に人生の意味を考えさせられる一冊である。僕は常々劉備や孔明だけでなく曹操にも目を向けて欲しいと思っている人間であり、この一冊は曹操の良さを知る最もお勧めの一冊である。
関羽の死後、夷陵へ出陣するところまでが書かれています。この巻で張飛が死ぬのですが、あまりに荒唐無稽な展開でちょっと残念。ですが北方氏の三国志は、男たちの生き様死に様を見事に描ききっていて、本当に飽きさせません。吉川版をはじめとして多くの三国志の物語では、中盤以降ただの国取り合戦になってしまい退屈してくるのですが、この作品では、各登場人物が愚直なまでに男の夢や志を追い求め、そして見事に散ってゆく。どんな戦で誰が活躍したかなどということより、どう生きたかということに重点が置かれているので、筋が分かっていてもドキドキハラハラしながら楽しめますし、泣けます。この作品で初めて三国志に触れたという人は幸せです。