いい本です!!
<br />ややっこしい感染症の基本的な知識を、どのようにすれば分かりやすく伝えられるのか、という試みが随所にみられます。
<br />A5というサイズで200ページという手ごろなボリュームというのは好ましいし、本のでだしだけでなく、各章のはじめに目次が書かれていたり、章が問いかけで始まりその答えは最後に書かれていたり、フォントや枠組みや網の使い方などなど、工夫されていて見やすいです。
<br />最後のほうにくると、工夫にもちょっと疲れがみえるけれど、感染症を勉強したいんだけれど難しい…と思っているひとにはいい本だと感じました。低学年の医学生でも、抗生剤の使い方に見当つけたいなと前向きなひとは読んでみてもいいと思います。
”とりあえず、この抗生剤”という治療をしている医師に
<br />特に読んでもらいたい、基本から学ぶことができる良書と思います。
<br />・患者さんを注意深く診察し、感染臓器を想定する
<br />・起因菌をみつける努力をする
<br />・コンタミのないように検体を取る、正しく保存する
<br />・検体を検査に出すのみならず、可能なら自らグラム染色して評価する
<br />・戻ってきた結果を正しく評価する
<br />・そして適切な抗生剤を必要十分量に使う
<br />・抗生剤の使用禁忌・アレルギーについて理解する
<br />必要な内容が、わかりやすく解説され、コンパクトにまとまっている
<br />非常に実践的な本はこの本くらいだと思いました。
<br />実際は、一日三回投与が難しく二回投与にしているという病院の話を
<br />聞いたり、保険の問題で抗生剤の併用をおこないにくいなどの事情も
<br />ありますが、本当はこうするほうが良いということを知っておくのも
<br />大事だと思います。
研修病院・市中病院では、内科医ですら感染症について熟知している医者が少ないのが現状です。本書はグラム染色から抗菌薬の選択に渡るまでの、分かりやすい記載が特長であると思いました。うまくまとめられており、決して専門的な用語・難解な内容もなく、『分かりやすさ』がウリの本であると感じました。そういう意味では、研修医・感染症についてあまり勉強されたことのない医者向けの本であると思います。感染症について日常の診療で困ったときにパッと開ける参考書的な本。一冊持っておきたい・読んでおきたいものという印象を受けました。