家族の肖像とかけて、幸せと解きます。被写体も写真家も、一般人から見れば「普通の人」ではないのですが(芸能の人、または有名人という意味で)、この写真集の中にあるのは紛れもない「どこにでもあるはずの家族の幸せ」です。書店で手にした時、どうしても書棚に戻すことができませんでした。少子化や家族の絆の崩壊、世代間の断絶が叫ばれている今、この写真集の輝きは、多くの人の胸を打つはずです。写真に写っている母親の子どもへの愛の深さを示す何気ないしぐさや視線、それをフレームに収めるカメラマン=アーティスト=父親の懐の広さに感動しました。見栄えのいい被写体や奇抜な企画の多い昨今の写真集の中では、奇跡といっていいほど真にクオリティーの高い写真集です。「写真って何だろう」「家族の愛って何だろう」という疑問に応えてくれる一冊でもあります。
海、洋館、庭、母と子...。生活を撮っているのか、撮られるべき生活があるのか判らなくなる。美しくて優しい日常。モノクロームできりとられたこの世界は、撮られたその瞬間、平和な過去になっているようで少し怖くもある。そういう意味では桐島かれんの文章が写真に息づかいを与えてくれているというか。含めて家族、と言っておこうか。
7月3日の「徹子の部屋」に桐島かれんさんが出ていて、だんな様の写真集を紹介していました。最初、かれんさんの日記も収録・・というのに惹かれ購入したのですが、日記部分はある意味なかったとしても、素晴らしい写真の数々に大満足でした。広尾→葉山→麻布と移り住み、古い洋館風の家、木々におおわれた庭、アンティークな家具。3年ごとの安産を4回。そして、かれんさんの写真は時代に関係なく、少女の面影を残した1人の女性と母性あふれるマリア様のような女性の2通りあるのです。長女のもーちゃんが、大きくなるにつれて桐島洋子さんにそっくりになっていくのには、やはり血を感じました。また愛犬の死の場面では涙があふれました。モノクロームの写真に時折混ざって、カラーの美しさ(見たことのない緑色の葉っぱだったり、かれんさんのスカートの色だったり)には息をのみました。本当に久しぶりに、素晴らしい写真集を見せて頂きました。