東條閣下は東京裁判で闘われたと感ずる。その孤独な闘いこそが本書、意見供述書である。
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<br />あの国家未曾有の時代をかくも凛々しく闘いぬかれたことに、改めて感謝したい。東條閣下については小生が若き頃、誤解をしていた。申し訳なかったと思う。
東条英機らを戦犯として一方的に裁いた極東軍事裁判を主催したのはGHQ総司令官ダグラス・マッカーサーだが、
<br />このマッカーサーは戦後数年経った朝鮮戦争の頃から東条と同じ主張、
<br />即ち
<br />「日本があの戦争に赴いていったのは安全保障の必要に迫られたためであって侵略ではない」
<br />をしている事にも注目したい。
「極悪人・東條英機」というイメージを払拭する必要がある。極端に偏ったイメージの、その反動が「英雄・東條英機」などという虚構を招いてしまうゆえに。
<br /> 『東條英機宣誓供述書』をそのまま復刻して欲しかった。そこが残念であるが、「宣誓供述書」そのものは一読の価値がある。
<br /> 読めばそこにはただのオッサンが居る。しかしそのただのオッサンが、当時の国民をあのような惨禍に至らしめた、それは東條本人さえ認める厳然たる事実である。
<br /> 今に生きる者たちは、このオッサンやその他のオッサンどもが何故にまた如何にして、日本を底無しの泥沼に引き摺り込んでしまったのかを検証しなければならない。二度と同じ轍を踏まぬ為に。
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