革命前後のイランの状況がわかる貴重な資料としても読める。
<br />だがやはり、激動の時代を一人の少女の等身大の視点から眺めることができるというのが、本書の何よりの価値だろう。
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<br />少女マルジは、時に革命家の叔父を自慢してみたり、逆に革命に反発してアメリカの音楽を聴いたり、
<br />あるいはイラン軍の活躍に大喜びする一方で、爆撃の恐怖におののいたりする。
<br />戦争や革命に対する人々の思いは一つではなく、あっちこっちに揺れ動く。
<br />そんな当たり前のことを、マルジの視点は改めて教えてくれる。
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<br />彼女の一家はイランの中でもかなりの上流階級に位置しており、これがイラン人の典型なのだとは言えないだろうが、十分に価値のある一冊。
<br />マンガ形式になっているが、一つ一つのイラストは絵本から抜き出してきたように独特で魅力的。
この本を最初に知ったのは2003年。当時、FNACなどで大々的に売り出されていた。気になってはいたものの、邦訳が出て初めて読んでみた。実際にそこで生活し、育ってきた人物が無機質なイラストで綴るイラン、ヨーロッパの当時の世相&彼女自身の心の揺れは、ジャーナリズムなどが伝える情報より、遥かにリアルだ。ハリウッドで、映画化が準備されているとか。
イラン革命・なんだか難しそうな題材をマルジという(作者本人)の目線で知る事が出来ちゃう。
<br />何よりも「マルジ」彼女が愛おしくなる。
<br />激動の少女時代を淡々と綴る・・・
<br />大人のための漫画。私達の知らないイラン女性の真実が解る!
<br />まちがいなくおもしろいのだ!