この本に出会えたことを有り難く思う。
<br />旅に出てはじめて見えてくるもの、理解できることがある。
<br />パレスチナ、ニューヨーク、ユダヤ、宗教、食、、、
<br />そして自分のこと。
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<br />立花隆の旅をとおして、
<br />実は自分を見つめて直しているような気がしてくる。
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<br />面白いとか傑作とかではなく、
<br />非常に評価できる偉大な作品。
<br />間違いなく後世に残したい偉大な作品。
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まさに、このようなテーマで行なわれた立花教授の特別講義のレジュメのようです。<br>序章はガイダンスにあたり、第1章以下の概略の説明と共に、<br>「何故、旅に出るのか?」、<br>「何故、旅をしなければならないのか?」について、氏の考察が続きます。<br>この章を読むだけでも、充分、本1冊分の価値があります。<p>続く各章では、氏の、様々な時代の、様々な場所(日本を含む世界各地)における旅の記録なのですが、<br>氏が断わりを入れているとおり、「何を見た、何を食べた、なにをした」といった類の、<br>単なる旅行記ではありません。<br>これらのことを契機として、『立花隆が、何を、どのように考えたか(思索したか)』の記録です。<p>つまり、我々読者は各章を読むことで、<br>「氏がどのようにして、自らを現在の立花隆たらしむべく創っていったのか」<br>を探る旅に出掛ける事になります。<p>氏が、「この世界を本当に認識しようと思ったら、自らの肉体を移動させること、<br>つまり必ず旅が必要になる」と言うところに、<br>私は氏のジャーナリストとしての、知の巨人としての原点を感じました。<p>勝手に氏を「心の師匠」と仰ぐ私にとって、この本は待ちに待った本です。<br>中に納められた写真、特にキリスト教に関係する写真も素晴らしいです。<br>圧倒的な分量にも関わらず濃密な内容の文章と、ビジュアル的にも楽しめる写真を併せて、<br>間違いなくお買い得です。
昔から立花隆のファンで、著作はほぼすべて読んでいるつもりだが、この本には圧倒された。「幅が広く、奥が深い」という著者の特質がもっともよくあらわれた本ではないか? とくに、20年以上前から、「世界帝国の首都=ニューヨーク」と「現代史の最大の攪乱要因=パレスチナ」に注目し、対比する形で研究を続けてきたところはさすがだ。