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成人向けサイトのオンライン戦略インターネット業界でもっとも成功している業界の一つに、オンラインカジノやアダルトサイトなどといった、社会的には、あまり高く評価されていない産業が挙げられます。それは、世の中にあるアダルトサイトの多さにも現れていますし、アダルト業界やカジノ業界の広告の多さにも現れています。 例えば、インペリアルカジノなどのオンラインカジノは、アフィリエイトプログラムで成功している世界最大のオンラインカジノです。 アダルトサイトのアフィリエイトプログラムとしては、DTI Service(※1)などが Webmaster 向けのサービスを提供しています。 その他、アダルトサイト業界でも、Value Commerce などの広告媒体に広告を露出しています。 ここでは、それら、あまり表立って語られることのない、アダルト業界の現状やそのサイトの運営手法を考えていきたいと思います。 (なお、筆者は実際にアダルトサイトを運営しているわけではないため、その記述には誤りがあるかもしれません。ご了承ください。) (※1)DTI Serviceは、Chance Maker.net( 日米のアフィリエイトプログラムポータルサイト)などで紹介されており、もともとサーバーホスティングやクレジットカード決済を専門に行なっていた会社のようです。 1.アダルト業界の現状 比較的最近まで、アダルトサイト業界は、オンライン販売の利益のうち、非常に大きな部分を占めていました。 例えば、1998年アメリカでのオンライン使用金額14億ドルのうち、69%に当たる10億ドルもの金額が、アダルトサイトに流れたと言われています。 しかし、現在、アダルト業界の市場規模は頭打ちになりつつあるというのが現状のようです。 ZDNetの記事(曲がり角を迎えたオンラインポルノ業界やポルノサイトも例外ではない――景気後退で廃業続出か)などによれば、1997年の時点で10億ドル程度だった市場規模は、2001年には年間約17億5000万ドルとなったそうですが、2001年度だけで見るとその市場規模はほぼ横ばいで推移しているとのことです。 アダルト業界がかつての勢いを失いつつある最も大きな理由。 それは、アダルトサイトのあまりにも急激な増加にあるといわれています。 現在にいたるまでにアダルトサイトがこれほど急激に増加したのは、アダルトサイトの運営という業界がかつては本当に濡れ手に粟の業界だったからです。(例えば、あるアダルトサイト運営者は3年間で1億円稼いだそうです。) 例えば、以下のようなキーワードでgoogle検索をかけると括弧内に記した程度のサイトが引っかかります。(2002年現在) アダルト(4,150,000)、ポルノ(329,000)、ヌード(631,000)、アダルトビデオ(111,000) かつては、急成長するインターネット業界において、ある意味で花形であったアダルト業界。それは、その急激な成長のために現在、成熟産業に代わりつつあるようです。 (これは、アダルトサイト業界が斜陽産業になりつつあるという意味ではなく、アダルトサイト業界でも、他の産業と同様に、顧客に対するサービスの充実やアフターケアなどビジネス的要素が重要になってきていることを意味しています。つまり、かつてのようにアダルトサイトを開設すれば儲かるというような、バブルではなくなったというだけの話かもしれません。) 2.アダルトサイトの戦略 アダルトサイトには、大きく分けて有料サイトと無料サイトの二通りのサイトがあります。 が、無料サイトが、金銭目的ではないかと言うと必ずしもそうではないようです。 無料サイトの収入のほとんどは、有料サイトからの広告料と有料サイトへのクライアントの誘導によって得られます。(それは、バナー広告収入に記述したような、いわゆるアフィリエイトプログラムのアダルトサイト版であると考えられます。) そこで、より多くの収益をあげるため、アダルトサイトは非常に多くの広告を出すようになりました。アダルトサイトの多くはアクセス数が非常に多く、通常はあまり利益にならない表示回数によるバナー広告収入もバカにならない収益になるため、一つのバナーを載せるか載せないかの違いが、実際の収益に大きく影響すると考えられるからです。 また、無料サイトでは、ユーザのクリック率を上げるために、サイトを訪れると連続して多くのウィンドウが立ち上がり、とにかくクリックを誘発しようとしたり、ダミーの入り口をいくつも作ってクリックを誘導したりしています。 しかし、そのようなクリック誘発型のサイトが非常に増加したため、やがて、ユーザはそれら広告を無視するようになりました。 また、有料サイトは、広告効果の減少に伴い、広告費自体を下げるようになります。 クライアントのクリック率は下がり、広告費自体も下がった結果として、無料サイトはさらにクリックを誘発しようとHPを作り変えます。 そして、それが、クライアントのクリック率を下げ、広告費をますます下げることになります。 アダルト業界のかつての広告モデルは現在そのような悪循環に陥っているようです。 3.アダルトサイトの成功例 アダルトサイト業界も他の業界と同様、勝ち組と負け組が色濃く分かれつつあるようです。 いわゆる勝ち組になりつつあるのは、 ■ トラフィックのほとんどを持っている超巨大サイト ■ アダルトという分野の中でも、サイト内で提供するサービスを特化し、特定のユーザへのサービスに集中しているサイト ■ ユーザへのきめ細かいサービスを提供し、ユーザの定着率、リピート率を確保することに努力しているサイト などといった成功を収めるための条件をきちんと満たしているようなサイトのようです。 (恐らく、これらの条件は他の業界でも十分に適用できるものだと思います。) コストを抑え、利益率をできるだけ上げ、ユーザへのサービスを徹底する。 他の業種での成功の条件はアダルトサイトでも同様のものであるといえるでしょう。逆に成功しているアダルトサイトを研究することで他の業種での成功の鍵を見つけることができるかもしれません。 |
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