-デル コンピュータ(Dell Computer)の戦略について、考察します- デルコンピュータ製品一覧

　コンピュータ不況が続く中、一人勝ちしているといわれるデルコンピュータ(DELL)。

　デルコンピュータは2001年度のパソコン出荷台数で、世界第1位のパソコン販売会社になっています。コンピュータの組み立てという競争相手が非常にたくさんいる分野で、デルコンピュータがこれほど大きく成長した理由はどこにあるのでしょうか。

　そこで、ここでは、デルコンピュータが取ってきた過去から現在に到るまでの戦略について、考えてみたいと思います｡

　(デルの戦略自体が、今後もどんどん変わっていくと思いますので、少しずつ、発展させていこうと思います。)

　１．デル ダイレクト モデル

　デルコンピュータの基本的な戦略はデル ダイレクト モデルという言葉で表されています｡

　もっとも基本的な部分では、メーカーと消費者の流通部における小売店を省いた、いわゆる中抜き戦略ですが、デルコンピュータは、その発展に伴い、顧客へのアフターケアも含め、その戦略に付加価値を付けているようです｡

　現在、デルコンピュータは、顧客へのアフターケアに非常に力を入れています｡

　例えば、1台1台仕様が異なるデルコンピュータの製品情報は、受注と同時に社内のデータベースに蓄積されています。

　デルコンピュータの売上の多くは、BtoBでのビジネスによって、得られていますが、そこで非常に高く評価されているサービスが、この顧客ごとのデータベース管理サービスであるそうです｡

　また、一時期、小売店に出していたDELLの製品も、現在では一切、小売店では販売していません｡

　当時、売上自体は、上がっていた小売店での販売を引き上げたことは、デルの戦略の中で大きな位置付けであったと言われています｡

　誰にでも分かる単純で優れた戦略を、ただひたすらに徹底すること。

　デルの戦略は、設立当時からの戦略をより強化する方向に動いています｡

　２．デルのインターネット戦略

　デルコンピュータは、インターネット販売で最も成功している企業の一つです｡

　Amazonが赤字で苦労していた頃、デルコンピュータは既にインターネット上の販売で利益を上げるようになっていました｡

　マイケルデル氏は、インターネットをデル・ダイレクト・モデルの中でも重要な位置にあると考えているようです。

　現在、デルの製品は、サーバー製品も含め、インターネット上から購入できるようになっています｡

　３．注文生産（BTO）

　デルコンピュータでは、注文を受けてから、生産を始める注文生産(BTO)方式を取っています｡

　この戦略によって、顧客は、自分の望んでいる仕様にあわせ、きめ細かい仕様設定をすることができますが、より大きな効果としては、デル側で用意しておくべき、コンピュータの在庫が飛躍的に小さくなるという効果が挙げられます。

　コンピュータ業界は、在庫の価値があっという間に落ちる業界であるため、在庫はできる限り、持たないことが望ましいですが、デルコンピュータは、それを徹底したサプライチェーン・マネジメント(※1)を実践しています。

　なお、デルコンピュータは、業界屈指の低在庫水準（2002年1月期末現在： 在庫日数4日）を維持しています。

　(※1)　例えば、トヨタ自動車のカンバン方式が有名です｡

　４．マイケル デル氏の考え方

　マイケル デル氏は、1965 年、 2 月 23 日に生まれました。2002年現在、37才の彼は業界で最も長期間CEOでありつづけている経営者として知られています｡

　彼の著書である｢デルの革命｣によれば、高校時代、コンピュータとは別の商売をした経験を持っており、その収入は当時の担任教師の年収を上回っていたというエピソードがあります｡

　その後、コンピュータに出会った彼は、テキサス大学在学中に、わずか1000ドルで会社を興し、その後、ほんの十数年のうちに今のデルコンピュータにまで成長させたのです。

　彼は成長の過程で外部から、多くの取締役を起用しています。多くの小企業の社長は、何もかも自分でしようとし、そのために失敗しますが、彼はできるだけ人に任せるという能力に非常に長けていたのではないでしょうか。おそらく、人を雇い、その能力を引き出す能力こそが、彼の会社であるデルコンピュータが成長した最も大きな理由と言えるでしょう｡