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保険とギャンブル古代より、ギャンブルや賭け事は多くの国で行われてきました。 時代の流れと共に、その一方は娯楽として、そして、他方はビジネスとして発展しました。 娯楽としてのギャンブルには、多くのものがあります。カジノ、競馬、など多くのものは、娯楽としてのギャンブルになります。 他方、ビジネスとして発展したもの。それが保険です。例えば、生命保険は、ある人の残りの生命(寿命)と賭け金とを勘案し、その間に得られる収入の方が、支払わなければならない収入よりも多い方に確率、統計的に賭けるビジネスですし、それが自動車保険であれば、ある人が事故を起こすかどうかに、保険会社は金銭を賭けていることになります。 銀行にとって、もっとも大切なのは、足し算、引き算といった加減乗除までの算数です。 保険会社にとって、もっとも大切なものには、上記に対し、確率と統計が加わります。 仮に、賭ける人間が一人であれば、保険会社にとってその収入は、非常に不安定なものになります。ですが、賭ける人間が非常にたくさんいれば(つまり、保険に入る人がたくさんいれば)、保険会社にとって、その収入は飛躍的に安定したものになります。もし、保険に入る人間が、非常に多くなれば、その集団の中で例えば、自動車事故を起こす人は、確率的に一定に収束していきます。 ところで、歴史上、ギャンブルは暗いイメージを長く有してきました。けれど、現在、保険にはそのようなイメージはありません。 何故、カジノやスロットなどのギャンブルは犯罪とみなされ、保険は犯罪とはみなされないのでしょう。その本当の理由は、分かりません。けれど、恐らく保険が、困ったときに人を助けるという人助けの性質(いわゆる保証の性質)を持っていることから来ているのではないでしょうか。実際のところ、その歴史的背景には興味深いものがあります。 ところで、一般に直接に金銭を扱うものほど、お金は儲かります。例えば、今、最も儲かっているものは、恐らく一部の金融関連会社、特にローン会社です。(銀行が火の車だと言われるのは、本来、1億の価値のものに10億のお金を貸すようなことをしてしまったため、その借金を返さなければならないからであり、本来的な意味での金融業のみで考えれば儲かっているはずです。)また、金融のビッグバンに伴い、トヨタやSONY、AM/PMなど他業種の企業が、相次いで金融業に参戦しているのは、そのためであると思われます。(上記に加え、金融業にはアインシュタインをして、人類最大の発明と言わしめた、複利の特徴をフルに使用できます。東京三菱銀行が、自ら金銭を貸すのではなく、東京三菱キャッシュワンを設立したり、多くの銀行が、自ら貸すのではなく、ローン会社に業務の委託をするのは、良くも悪くも彼らが複利の力を十分に知っているからでしょう。) それはさておき、恐らく、ここで取り上げている保険業は金融業程ではないにせよ、非常にお金に近い位置にいる業種の一つです。 例えば、2002年現在、ビルゲイツに次いで世界で二番目に金持ちだといわれるバークシャー・ハサウ ェイの会長兼最高経営責任者(CEO)ウォーレン・バフェットは保険に目をつけています。彼自身は書籍を書いていませんが、彼の投資方法について記述した書物には、確か、彼は非常に数学が好きで保険の統計的な性質をとても好んでいるというような内容が書いてあった気がします。 現在、保険会社の中には、赤字の保険会社も多いです。けれど、適切な運営と統計的な分析をきちんとすれば、保険は本来、数ある業種の中でも非常に儲かる職業の一つだといえると思います。(これは、保険業という仕事が容易だという意味ではありません。)
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