書評と引用 僕はこんな本を読んできた
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「天の瞳」(灰谷健次郎)、引用

「さびしい気持ちに なるくらいでなかったら、友だちの役に立たれへんねん。」


「おまえは学校で勉強しているな。学校の外でも、いろいろなことを学んでいる。人間はものを学んで、その次、なにをする?」

「仕事」

と倫太郎は答えた。

「さすが、じいちゃんの孫や。それが、きっぱりいえる人間は、この世の中にそんなにおらん。仕事というもんは、これまで、いろいろなことを学ばせてもらったお礼でもあるから、いつも人の役に立っているという心棒がなかったら、その仕事は仕事とはいわん。ただの金儲けと仕事は区別せんといかん。・・・」

・・・

「仕事は深ければ深いほど、いい仕事であればあるほど、人の心に満足と豊かさを与える。人を愛するのと同じことじゃ。ひとりの人間が愛する相手は限りがあるが、仕事を通して人を愛すると、その愛は無限に広がる。そうして生きてはじめて、人は、神さまからもろうた命を、生き切った、といえるのじゃ。」

倫太郎の目は、じいちゃんの上に止まって、ぴくりとも動かない。

「仕事をしない人間は、我欲ばかりつよくなる。こせこせとちっぽけなことに気がいって、小理屈が多くなる。他人のことをあれこれいう。ほんとうに大事なものが見えていないから、流行を追っかける。自分を見失うので執着がふくらみ、つよくなる。そんなふうに生きてしまうと、神さまから、もろうた命を生き切ったことにはならない。未練ばかりが残ってしまうのじゃ。」

文庫

 

天の瞳 幼年編〈1〉 天の瞳 幼年編〈2〉

天の瞳 少年編〈1〉 天の瞳 少年編〈2〉

天の瞳 成長編〈1〉 天の瞳 成長編〈2〉  

天の瞳―あすなろ編〈1〉

灰谷健次郎の作品

兎の眼(文庫) 太陽の子(文庫)

海の図〈上〉彷徨の海(文庫) 海の図〈下〉波浪の海(文庫)

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内容(「BOOK」データベースより) 年少組なのに年長組の子を泣かせたり、突拍子もないいたずらを考えついたりと、いつも保育園の先生を手こずらせてばかりの倫太郎。大人たちからはとんでもない悪ガキだと思われることが多いが、実は鋭い感受性とさりげないやさしさをあわせもった個性的な子だ。倫太郎はどのように成長していくのか、そして周りの大人たちは倫太郎をどう見守っていくのか。灰谷健次郎が満を持して贈るライフワーク集体成、遂に待望の文庫化。 (C) Amazon.co.jp

  
 
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