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「インストール」(綿矢りさ)、書評綿矢りさ氏は、先日19歳にして史上最年少の芥川賞を受賞した期待の新人で、確か、早稲田大学の教育学部に通っていらっしゃる。 本作は彼女の17歳の時の作品で、第38回文芸賞を受賞した。 当時彼女はまだ高校生だったため、その年齢もあって、かなり話題になったらしい。 僕自身は「綿矢りさ」という名前を芥川賞を受賞したときに知ったので、まだその名を知って間もない。 本作インストールは、日々の生活に飽き、登校拒否をする女子高生が主人公。 彼女が同じマンションに住む大人びた小学生とふとしたきっかけで知り合い、一緒にいわゆるチャット風俗でバイトする。 そんなやや不思議な登校拒否生活の中での女子高生の心理が描かれている。 どんな文学作品でもそうだけれど、その作品には作者の想いが投影される。 本作もまた、17歳という年齢が持つ可能性とその不安、その時期ならではの悩みが書かれていると思う。 一作目が第38回文芸賞、二作目が第130回芥川賞。という作家としてこれ以上ないほどの輝かしい経歴。 そのために多分に期待過剰になってしまう部分がある。 むしろ、その感性とセンスが期待されている部分なのであろう。
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