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「おどる12人のおひめさま-グリム童話」(グリム、エロール ル カイン)、書評「おどる12人のおひめさま」はなんだかとても不思議な物語だ。 昔、あるところに、12人の美しい姫がいた。 姫たちの靴は、朝になると、一晩踊り明かしたかのようにぼろぼろになる。 その謎を、誰も解くことができないのだけれど、ある日、兵士がその謎を解く。 このような話の流れは、よくある自然な流れなのだけど、最終的な結末がよく分からない。 兵士はその謎を解くのに使うのは、あるおばあさんにもらった上着で、それを使うと姿が見えなくなるのだ。 その上着を着て、兵士が姫たちの後についていったとき、その気配に気づくのは、末娘なのだ。 だとすれば、賢いのは末娘である。 しかし、兵士と最後に結ばれるのは、末娘ではなく長女なのだ。 長女は、気配に気づく末娘をたしなめ、それを気のせいだといっている。この部分だけ読むと、長女はむしろ末娘に比べ、注意力のない、おおらかな人物に見える。 しかし、最後の場面になると、長女が、いきなり賢くなる。 他の姫がうつむいている中、一人やけに堂々としているのだ。 ありうるのは、上着をもらったおばあさんが、実は、長女のお姫様だというパターン。 しかし、なんどか、読み返してみたのだが、そうは読めない気がする。 謎な本である。 なお、本書は、さくらももこさんの「憧れの魔法使い」の中で、書かれていて、読んでみた一冊である。 エロール ル カインという作家の描く美しい絵が印象的である。
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