「陰陽師」(夢枕獏)、書評
陰陽師は、陰陽師、安倍晴明と、その親友の武士。源博雅を中心とした、いわゆる物の怪の物語。
陰陽師(おんみょうじ)とは、簡単にいえば、占い師のことなのだけれど、いわゆる呪術や物の怪退治など全般を扱う専門職である。
もともとかなりの人気作であったようなんだけれど、野村万斎主演の映画陰陽師をきっかけにして、最近、一大ブームになった。
本作陰陽師は、累計360万部の売り上げを誇り、本作をベースとした漫画も540万部というすさまじいセールスを誇っている。
そして、それだけ売れるだけのことはある。正直、ものすごくおもしろかった。
このシリーズは、更にいくつか続くようなので、ぜひ読んでみようかと思っている。
いわゆる物の怪に関するいくつかの記述は、「うしおととら」に通ずるものがある印象。
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主人公の安倍晴明は、平安中期の天才「陰陽師」。陰陽師とは、簡単にいえば占い師なのだが、陰陽道にのっとって、呪術を操り天文・暦学をつかさどる専門職だ。彼の行ったことはあまりにも不思議な部分が多いので、いろいろな古典に取りこまれている。そのつど、多少なりとも作り話が加わるので、結果として「安倍晴明ワールド」というべき伝奇ロマンが中世以後形成されている。
本書に収録された6つの短編も、連綿と続くその伝奇ロマンの一片。鬼や死霊、生霊などさまざまな「ものの怪」が登場するが、彼らがものの怪であることには、それなりの理由があるのだ。人間をたばかり、殺すことだけが彼らの目的ではない。この世に「怨み」があるから、ものの怪は存在するのである。
安倍晴明は、そんな彼らを退治することはしない。ものの怪の存在理由を明確にし、彼ら自身を納得させるのである。派手な活劇は登場しない。「蟇」では、我が子を殺された両親の怨みを、「鬼のみちゆき」では、男に捨てられた女の怨みを、晴明はじっくりと聞く。そして彼らの怨念を解きほぐしてやるのだ。
決しておどろおどろしいストーリーではない。むしろ、知らず知らずのうちに「怨み」を生んでしまう人間の哀しさが、一編一編の話からにじみ出ている。陰鬱(いんうつ)でもない。各話中で交わされる、晴明と博雅の会話が実にひょうひょうとしていて、ときにおかしさを物語に添えているのだ。
哀しさとおかしさの真ん中で、安倍晴明が涼やかに平安の人間と闇とを見つめている。(文月
達)
出版社/著者からの内容紹介
死霊、生霊、鬼などが人々の身近で跋扈した平安時代、妖しのものを相手に陰陽師安倍清明が親友の源博雅と挑むこの世ならぬ難事件
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