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「女に―谷川俊太郎詩集」(谷川俊太郎)、書評谷川俊太郎氏のこの詩集は大好きで、もう随分昔から何度も読んでいる。 この詩集は、谷川俊太郎氏が、恐らくは、自分の妻であり、挿絵も描いている佐野洋子氏にあてて書いたラブレターに近い詩集である。 この詩集には、谷川俊太郎氏の「女」へと寄せる深い想いが色濃く出ている。いわゆるきわめて純粋な愛の詩であるといえるだろう。 この詩集では、 女と出会う前の女の人生に対する空想。 女と出会ってからの女への想い。 女とやがて向かえるであろう死。 というように誕生から死まで時間を移しながら、その時間の流れの中で女への想いを詩にしている。 全体を通して、女への想いをその基本テーマとしながらも、視点を変えると時間という別の軸を持った優れた詩集であると思う。 特に「ここ」という詩が好きなので、ここに引用しておきたい。 /*--- 「ここ」(谷川俊太郎) どっかに行こうと私が言う どこ行こうかとあなたが言う ここもいいなと私が言う ここでもいいねとあなたが言う 言ってるうちに日が暮れて ここがどこかになっていく ---*/ また、「ともに」という詩にある ともに生きるのが喜びだから ともに老いるのも喜びだ という言葉は、僕の心に強く残ったので、本サイト内にある「心に残る人生の名言」の方に 「ともに生きるのが喜びだから ともに老いるのも喜びだ」として詩そのものと共に公開している。
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