|
|
「ヴェニスの商人の資本論」(岩井克人)、書評著者略歴によれば、岩井克人氏は、東京大学、MIT(マサチューセッツ工科大学)で学ばれた後、カリフォルニア大学バークレイ、イエール大学経済学部などを経て、現在は東京大学で教授を務められているバリバリの経済学者である。 本書は、筆者がタイトルとなっているヴェニスの商人のエピソードやキャベツ人形のエピソードなど、筆者の取り上げるいくつかの題材を通して、経済原理、特に貨幣の役割に関して記述した経済エッセイ(論文?)である。 例えば、 ウィリアム シェークスピアの作品であるヴェニスの商人の物語を辿りながら、貨幣そのものはそれ自体では価値を持たないこと。貨幣は異なった共同体の接触の中でこそ生まれること。などを解説したヴェニスの商人の資本論。 差異を元にして利潤を生み出す資本主義の原理と、人間の中にある二つの異なった欲望(他人と一緒でいたいという欲望と他人と違っていたいという欲望)を元にして解説したキャベツ人形の資本主義。 本物のお金を作るためには、実際に本物に似せたお金を作るのではなく、それと似ても似つかぬものが本物でありうる(例えば、金銭と同じ価値があると認識されているもの。借用書、金券など)という逆説的事実を解説したホンモノのおカネの作り方。 など、経済に関する、いくつかの短い文章で構成されている。 視点としては、文化論的にも経済学的にも面白いものを結構含んでいると思うのだけれど、残念なことに文章が少々小難しい。 その意味で惜しい作品だと思う。 お金を稼ぐ/ネット収入とその報酬-サイドビジネスによる副収入 講座
|
Copyright(C) 2002 - Mitsuharu Matsumoto All rights reserved.