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「ベレーニケに贈る小さな哲学」(ローラント ジーモン シェーファー)、書評何かを分かっているということは、その何かを子供にもわかるように説明できるということだ。 本書は、その意味で哲学のことをよく分かっている人が書いた本だと思う。 もともと、この本は大学の哲学の教授である作者が12歳の娘であるベレーニケに向けて書いた哲学の本だ。 訳し方も、それをすごく意識していて分かりやすい内容になっている。 ことばというものがそもそも何なんだろう。という身近なところから話を始め、人間が知るということの限界。人間にとって正しい社会秩序。など、哲学にとってより本質的な話題へと流れるように話を進めていく。 科学哲学から精神哲学。経済や社会哲学にいたるまで、歴史的に哲学がどのように発展してきたのかを、避けることなく正面から取り上げている。 非常に分かりやすい解説で、何気なく手にとった僕にとっては思わぬ拾い物だった一冊である。
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