書評と引用 ふたり 唐沢寿明
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「ふたり」(唐沢寿明)

 俳優として知られる唐沢寿明が、1996年に出版した自叙伝である。

 俳優になるため高校を辞めてから、長い下積み生活を経て俳優として見とめられるまでの自身の半生を綴っている。

 私達は多くの場合、テレビや映画という媒体を通して、俳優や歌手などを見、そこにその俳優のイメージを勝手に作り上げてしまう。そして、そこで作られたイメージを、多くの場合、私たちはなかなか覆すことができない。

 この本によって、私達の理解している俳優像と実際のそれの違いを改めて知ることができるだろう。

 夢をかなえるための長く、険しい道のり。その過程で向き合わなければならない深い孤独。

 俳優という仕事を通して、彼が得てきたこと。感じてきたことを、率直な文体で描いていく。

 本書の内容を象徴していると思うので、帯を引用しておくことにしたい。

 彼女と同じように、おれの中にも大きな空洞がある。

 今思うにお互いが惹かれ合ったのはその空洞のせいではないだろうか。

 抱きしめてくれる相手のいない孤独の中で、そのときどきの寂しさ、切なさをたったひとりでやり過ごしてきた者の中に出来る空洞だ。

 当時、ベストセラーになったこの本は、単純にジャンル分けするといわゆるタレント本と言うことになるのかもしれないが、ノンフィクションの小説として十分に面白い。

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内容(「BOOK」データベースより) 役者になりたい。ただその一点で、かろうじて社会と結びついた青年は、様々な障害にあうたびに何を選択してきたのか。家族との訣別、宿なしの青春期、そして山口智子との出会いから結婚まで、知られざるエピソードを交えて描くストレートな人生哲学。高等学校の副読本にも採用され、希にみる成長物語と絶賛されたミリオンセラーエッセイ、ついに文庫化。

内容(「MARC」データベースより) 家族や学校と訣別し、役者を目指した少年がドン底でつかんできた生きる哲学。大嫌いなポロシャツを着てさわやかな笑顔を練習した日々。やがてめぐり逢う山口智子との新しい愛の形。誠実に綴られた初めてのエッセイ。 (C) Amazon.co.jp

  
 
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