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「ホームページにオフィスを作る」(野口悠紀雄)野口悠紀雄氏は、東京大学工学部応用物理学科から、大蔵省に入省し、エール大学経済学部大学院博士課程を卒業して経済学者になったといういわゆる元理系の経済学者であり、超整理法などのベストセラーで知られるもの書きでもある。 氏の著書に、コンピュータや情報などの話題が多いのは、その理系の経歴の性かもしれない。本書もその性が出ている書籍の一つである。 ホームページにオフィスを作る。 かつて、インターネットが世間に広まり始めた頃、ホームページを作ることで夢のような生活が得られると夢想された。 だが、実際には、インターネットによって大成功を収めたサイトはアマゾンやデルコンピュータなどのごく一部のサイトに過ぎなかった。 ほとんどのサイトはアクセス数が少なく、開設されたもののすぐに閉鎖されるページも多かった。 或いは、低いアクセス数のために更新が滞っているサイトも多々あった。しかし、それはホームページそのものの有用性が薄かったからでは決して無い。ただ、ホームページを作りさえすれば夢のように儲かるなどというのは幻想に過ぎないという当たり前の事実が突きつけられただけなのだ。 本書は、ホームページにオフィスを作ることで夢のように儲けるための本ではない。 むしろ、自分のためにホームページを作り、それを自分の仕事のために使うという趣旨の本だ。 だから、本書で解説されているホームページ作成に関する考え方は、ごく基本的なことである。 自分で使いやすいようにホームページを作ること。 トップページは、サイトの概要が分かるように作成すること。 サイト作りは外部に任せるのではなく、できる限り、自分の手で作り変えていくようにすること。 各ページはアクセスするユーザのためにできるだけ軽く作るようにすること。 ホームページを作る上で、基本的でごく当たり前なこと。自分にとって使いやすいホームページでなければ、人にも使いやすいはずがない。それが本書の底に流れる基本的な考え方だといえるだろう。 しかし、それはホームページへのアクセス数を増やすためにも実際に重要なことなのだ。 野口悠紀雄氏は、現在、野口悠紀雄Onlineという巨大サイトを運営しており、同サイトへのアクセス数は、2002年現在、TOPページのアクセスカウンタで5,000,000アクセスを超えている。 本書が出た2001年の時点で日に4000アクセス程度、PVでは、40000〜50000PV/日(最高で250000PV/日)という相当なアクセス数を誇っているようだ。(恐らく、現在はもっと多いであろう。もちろん、野口氏自身が有名人なのでサイトの内容だけでそのアクセス数が稼げているわけではないだろうが、ただ何となく作っただけでは、40000PV/日は不可能である。) 実際には、同ページは、野口氏が一人で作り上げたものではなく、データベースやPHPプログラムなど、本来、外注したらかなり高くつく部分。或いは日々の更新などといった、ホームページを運営する上で最も時間のかかる部分を、野口氏だけではなく学生に作ってもらってしまっている。その為、サイトの充実度は個人が一人で作る時よりもはるかに高度なものになっており、その辺りは少し羨ましい環境だといえるだろう。(もっとも学生には何がしかのバイト代は支払っているらしく、本書いわく、なんだかんだでいろいろと出費もかさむらしい。) 同サイトはアマゾンのアフィリエイトに参加し、かなりの売上を上げていると思われるが同書はサイト内でアフィリエイトプログラムを始めたばかりの頃の作品のようだ。この時点では、サーバー代も稼げない程度にしか稼げていないと述べておられる。 だが、2002年現在、上記サイトは、Amazonの今月のアフィリエイトに載っている程のサイトなので、かなりの額を稼いでいることだろう。 (ちなみに、同ホームページに なお、野口悠紀雄は、「野口悠紀夫」でも「野口悠紀男」でも、「野口由起夫」でもありません。ご留意いただければ幸いです。 とあるところを見ると悠紀雄という名前は間違えられやすい名前のようだ。)
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