「コンピュータはなぜ動くのか」(矢沢久雄)、書評
本書は、ベストセラー「プログラムはなぜ動くのか」の姉妹編である。
本書の著者である矢沢久雄氏はプログラミング学習シリーズVisual Basicやプログラミング学習シリーズVisual
C++などといったプログラミング学習シリーズを執筆されている山本信雄氏や桑原信也氏と同一人物だ。
山本信雄や桑原信也という名前はペンネームであったらしい。
これらの本は書店に行くとすぐ目に付く場所に置いてある有名な本であり、これらの本が全部同じ人の手によって書かれていたことが、僕にとってはまず驚きだった。
本書は、日経ソフトウェアに2002年7月号〜2003年6月号まで、連載された「コンピュータは難しくない」という記事に加筆修正した形で本としてまとめたもので、プログラムやデータ構造、XMLやデータベースなどといったコンピュータに関わる基本的な事項を読み物的にまとめた本である。
基本的にはコンピュータ初心者向けの内容なのだが、、マイコンを使ってコンピュータを作る。ハンドアセンブルなど、ものすごく原理的なコンピュータの仕組みも記述してあって、既にコンピュータに詳しい人でも十分に役に立つ内容になっている。
XMLやデータベースなども僕のあまり知らない技術分野であったので得るものは多かった本である。
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コンピュータはなぜ動くのか
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企業セミナーの講師である著者は、近年の技術者の技術に対する興味が驚くほど少ないと感じ、そのことを憂慮している。著者はその原因を、コンピュータがわからなくなっている、すなわち技術が多様化と共にブラックボックス化し、その結果、技術に対して興味を失ったり、不安になったりしていると考えている。本質を理解することによって、技術への興味を回復し、新技術へ挑んでいくための礎とすることが本書の趣旨だ。
内容的には、入力・演算・出力から始まり、ハードウェアとソフトウェア、プログラミング、データベース、ネットワーク、SEの業務知識と、コンピュータの初等教育で扱われる内容をほぼひととおり網羅している。確かに、新入社員研修でもそのまま使える内容ではあるのだが、用語をできる限り並べるようないわゆる「テキスト」とは異なり、コンピュータを理解するうえで重要なポイントをできるだけ掘り下げようとしている姿勢が大きな特徴と言えるだろう。例えば、ハードウェアの説明をするために、回路図の読み方やCPUのピンの役割まで解説する。その一方でオブジェクト指向プログラミングやXMLなど新しい技術もわかりやすく説明しているので、レガシーな知識をバランスよく習得していけるようになっている。
基礎知識を持たない新人文系SEにも最適だが、受験勉強で年号だけを覚えるような虚しさを技術に対して抱いてしまっているベテランにも、高校の教科書を読み返すような感覚で目を通してほしい。(大脇太一)
出版社/著者からの内容紹介
本質がわかる“なぜ”シリーズ第4弾!
ベストセラー『プログラムはなぜ動くのか』の著者 矢沢久雄氏 待望の最新作。
本書はベストセラー『プログラムはなぜ動くのか』の姉妹本として、この1冊だけ読んでも理解できる、わかりやすい内容です。前作ではとり上げなかった「アルゴリズム」「オブジェクト指向」「データベース」「ネットワーク」「セキュリティ」など、コンピュータの中のしくみを“誌上での実験”を通してわかりやすく解説しています。
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