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「五番目のサリー」(ダニエルキイス)、書評五番目のサリーは、「アルジャーノンに花束を」や「24人のビリーミリガン」で知られるダニエル キイス氏の作品である。 本書は、主人格であるサリーも含め、合計5人の人格からなるサリーの人格統合の過程を描いており、フィクションではあるが多重人格障害の人格が比較的きめ細かく描かれている。 例えば、一般に多重人格(解離性同一性障害)は、幼児期の性的虐待や身体的虐待などに対する防御反応として現れることが多いといわれているが、本書では、祖父からの虐待という形で、主人公サリーの人格の多重が起こったとしている。(これは、多重人格を描いた作品としてよく知られているジキル博士とハイド氏とだいぶ異なり、実際の解離性同一性障害の症例に比較的即した例だと言えるだろう。) 多重人格障害についての詳細については、解離性同一性障害(DID)または多重人格(MPD)などに詳しい。 なお、本書は、ダニエルキイス氏初めてのノンフィクション「24人のビリーミリガン」のきっかけとな った小説として知られていて、同書の主人公であるビリーミリガン氏が、他にも多くあったノンフィクションのオファーを断って、執筆を依頼したそうである。
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