「環境危機をあおってはいけない 地球環境のホントの実態」(ビョルン・ロンボルグ 、山形浩生)、書評
環境問題というのは確かに存在するし、それはとても重要な問題だ。
しかし、今、環境問題は絶対的な善で、それに反抗する人は圧倒的な悪であるという雰囲気が世の中に思いっきり流れている気がする。
環境保護に対するそういう姿勢に昔から違和感を感じていた。
本書は、自分が前から持っていたこの疑問に答えてくれた一冊である。
本書はとても厚い本で、そこに記述されている内容は、資源問題、食糧問題、森林破壊、大気汚染など、多岐にわたるのだけれど、基本的に指摘されていることはとても単純なことだ。
1.公表されている数多くの証拠を見る限り、考えられるほぼすべての問題に対して、環境問題はあきらかに信じられないほど誇張されていること。
2.確かに現在も環境問題はあり、それは十分ではないけれど、過去からどんどん悪くなっているのではなく、むしろ、多くの部分で確実に良くなっていること。
3.環境問題に悲観的になり、環境をとにかく守ろうとすることが、限りある資源を逆に無駄にし、よりよい戦略を選べなくなる可能性を秘めていること。
昔から、持っていた違和感は特に3の部分にあると思う。
とにかく、世の中のどんな問題よりも環境問題が重要だという雰囲気に対する違和感。
何か問題が起きたとき、それを止めろ。ということは簡単だ。
しかし、それによって逆に環境にかけることになる負荷や失われるコストは、時に信じられないほど大きいことを頭に入れておく必要がある。
だから、事実ではなく、感情論として、ただ環境を守れというのは無責任だと思う。
あおられた警句にただ感情的に反応するのではなく、事実を認識し、問題に適切な優先順位をつける姿勢が何よりも重要なのだ。
もし、環境問題について本当に真剣に考えるのなら、
環境を守れ。とただ闇雲に言うことが、本当に環境を守ることにつながるのか、
そして、それが本当に他の問題に比べてリソースを費やす価値がある問題なのかを、
私たちはもう一度きちんと考え直す必要がある。
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環境危機をあおってはいけない
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『The Skeptical Environmentalist』の主張はこうだ。オゾン層に開いたホール(穴)は回復しつつある。アマゾンの森林は人類が誕生してからわずか14%しか減少していない。今後50年の間に絶滅する生物種はわずか0.7%である。それまでに貧困にあえぐ人々ですらより裕福になる。物事は決して十分に良い方向には動いていないとしても、私たちが教え込まれているよりも、はるかに良い方向に向かっている。――ロンボルグは、統計学の教授であり、元グリーンピースのメンバーだ。著者は、地球滅亡の危機説に繰り返し用いられているデータが、複雑すぎるうえに混乱していて、とにかく間違った使われ方をしていると言う。だからといって本書は、決して人々に安堵感や慰めを与える読み物ではない。また、何もしなくてもよいと人々を先導するような内容でもない。
著者は、多くの人々が利用する数値と同じものを使って説明をする。政府機関、京都サミット、グリーンピースで扱われているのと同様のデータだ。これまで素データについて詳しく論議がされる機会はあまりなかっただろう。たとえば歴史的背景、算出方式、長所および弱点などについてだ。またロンボルグは、人類および環境危機に対して私達が持つ認識は、最新の科学や環境機関、メディアによって人為的に作られたものだと断言する。高まる人々の絶望感に対して責任を負うべき者はいないが、私達が知らされる情報に対しては責任を負うべき者はいるはずだ。真のリスクは何か、それに対して何ができるのかを知る必要があるのだ。(京都会議?
これはよくない事例だろう)。それにはまず、優先順位をつけることだ。(30ペンスでオーガニック・バジルを買うのか? それとも冷たくてきれいな水をシエラレオネで買うのか?)。まだまだ手立てを講じる余地はあるのだ。パニックからは何も生まれない。
本書は、環境で話し合われている議題を見直すべきだと主張した『Silent Spring』
(邦題『沈黙の春』)の現代版ともいえる。子ども達のためにも、大人達は我々が住む世界がどのようなものかを理解しなくてはならない。これは必読の1冊なのだ。(Simon
Ings, Amazon.co.uk)
--このレビューは、同タイトルのペーパーバックのレビューから転載されています。
日経BP企画
環境危機をあおってはいけない
資源の枯渇や食糧不足など、これまでの環境問題の定説を豊富なデータをもとに検証し、「資源は枯渇しない」などの主張を展開している。2001年9月の発売以来、欧米で反響を呼んだ書籍の邦訳。
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