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「賢者の贈り物-The Gift of the Magi」(オー ヘンリー)、書評賢者の贈り物。それは、「最後の一葉」と並んで、オーヘンリーの作品の中でもっともよく知られた作品の一つだろう。 話の流れは、たとえ大雑把ではあっても、恐らく誰もが一度は聞いたことがあるに違いない。(確か、CMでもその粗筋を取り上げていたはずだ。) とても短い話なので、以下にその粗筋を述べる。
舞台はクリスマスを迎えたある貧乏な若夫婦の一日。 クリスマスだというのに、貧乏な二人にはお互いに贈り物をするお金すらない。 けれど、貧乏な二人は、それぞれに誰にも負けないすばらしい宝物を持っていた。 妻のデラはみなが褒め称える美しい髪を。夫のジムは、誰もがうらやむとても立派な金時計を。 しかし、贈り物を贈れない二人は、それぞれにある決断をする。 妻は夫の金時計に相応しい鎖を買うために、大切な髪を売ってしまう。 そして、夫もまた、妻の美しい髪を梳く串を買うために、大切な金時計を売ってしまったのだ。 二人がプレゼントしあったものは、結局、お互いにとって役に立たないものとなってしまった。 けれど、二人は、しかし、どんな贈り物をする人よりもすばらしい贈り物を贈りあったのだ。 彼らは、紛れもなく、東方の賢者※なのである。
僕がこの本を初めて読んだのは、多分、小学校か幼稚園のときだったと思う。 漫画の付録か何かに、この物語がついていたのだ。 子供心にも良く出来た話だと感心したことを覚えている。
幼い子供にもよく分かる非常に分かりやすいストーリー。 その短い物語に込められた強く深いメッセージ。 賢者の贈り物は、短編小説の一つの見本といえるだろう。 日本語訳にして、たったの9ページしかない非常に短い短篇の中に、強く深いメッセージが込められている。 非常に慣れ親しまれた古典的なストーリー。しかし、どんなに古くなったとしても、今後も残っていくであろう珠玉の名作と言えるだろう。
なお、賢者の贈り物については、プロジェクト杉田玄白に参加されている結城浩様が翻訳をなさっています。 一度も読んだことのない方は、リンクを辿れば無料で手に入れることが出来ますので、是非読んでみることをお勧めします。
※東方の賢者:キリストが生まれた夜、3人の東方の賢者達がキリストに贈り物をしたといわれています。
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