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「希望の国のエクソダス」(村上龍)、書評エクソダス(Exodus)とは脱出と言う意味。 舞台は経済的閉塞にあえいでいる2000年前後の日本。 不登校を起こした中学生がインターネットと投機を利用して経済的に独立。 経済格差が圧倒的に拡大していく日本社会を描き出している。 子どもたちから大人に向けて発せられる、おだやかで冷静な問いかけには、はっとさせられる言葉も多い。 お互いがベースに持っている知識やその問題意識が異なっているときコミュニケーションをとることは非常に難しい。 この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが、希望だけがない。 誰かに何かをしてあげたい、何かをしてあげることができる存在になりたいという思いが、どれだけ普遍的で、切実なものなのかをこれから日本人は思い知るようになると思う など、いくつかの言葉が印象的。 問題が起こっていることはわかっている。 しかし、その問題に対してどうしたら良いのかわからない。 つまり、問題に対するビジョン。という本質的な問題が、本書では取り上げられているのだと思う。 今までの村上龍観が一変。 村上龍氏の本の中で、初めておもしろいと思った。
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