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「黄色い目の魚」(佐藤多佳子)、書評本書、「黄色い目の魚」は本サイトで運営している書評掲示板で紹介いただいた本である。 紹介されてから、「しゃべれどもしゃべれども」や「ハンサムガール」など佐藤多佳子氏の本を何冊か読んだ。 僕にとっては、いわゆる「波長があう」作家の一人である。 人生には、その人の人生を決定付けるようないくつかの出来事が起こる。 それは、 友人との出会い。であったり 恋人との出会い。であったり 本との出会い。であったり 風景との出会い。であったり 師との出会い。であったりする。 それは、傍から見ると、たいした出来事ではないかもしれない。 しかし、そのささいな出来事が、その人の人生の意味の全てを決めることがある。 本書には、二人の主人公がいる。 一人は、村田みのりという少女。もう一人は木島という少年。 この物語は、二人の人間の幼少期から高校までの人生の断片を切り取った物語である。 絵画。という二人にとって鍵となるもの。それが、どのように彼らの人生にしみこんでいったのか。 それを仲立ちにして、二人がどのように心を通わせていくか。 過去の出来事が、その人の生き方にどのような影響を与えていくか。 などの小説の主題が、細やかで繊細なタッチで、細やかに描かれている。 絵を描くことを、小説家である佐藤氏が、こんな風に魅力的に描けるのは、小説を書くことと絵を描くことが本質的に同じものであるからなのかもしれない。
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