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「きみの友だち」(重松清)、書評「きみの友だち」は、小学生の頃、交通事故に会い、足に負傷を負った”きみ”とその友だちをめぐる長編小説。 主人公が、基本的に一話ごとにいれかわるオムニバス小説である。 わはは。と笑う面白さではなく、ふーむ。とうなったり、なるほど。と頷いたり、 そういう、ところどころで色々考えて面白い小説である。 みんな、がみんなでいるうちは、友達じゃない、絶対に。 という台詞が、この小説の中で、友だちに関するもっとも印象的な言葉。だとぼくは感じた。 お勧めの一冊である。 印象的な会話のやり取りを以下に引用。 「わたしは『みんな』って嫌いだから。『みんな』が『みんな』でいるうちは、友達じゃない、絶対に」 ぽつりと言った。 ・・・(中略) 「西村さんは、友だち、たくさんほしい人でしょ?」 きみが答える前に、恵美ちゃんは、「わたしは違う」と言った。 「いなくなっても一生忘れない友だちが、一人、いればいい」 由香ちゃんのこと・・・だろうか。 「一生忘れたくないから、たくさん思い出、ほしい」 恵美ちゃんは空からきみに目を戻して、つづけた。 「だから・・・『みんな』に付き合ってる暇なんてない」
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