喜嶋先生の静かな世界 The Silent World of Dr.Kishima 森博嗣
■僕はこんな本を読んできた - 書評と引用 - ■
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「喜嶋先生の静かな世界 The Silent World of Dr.Kishima」(森博嗣)、書評

 喜嶋先生の静かな世界は、フィクションでありながら、たぶん、著者である森博嗣さん自身の自伝的な要素も含んだ小説。

 多分、森さん自身の投影である主人公が大学に入り、喜嶋先生と出会い、研究にのめりこんで今に至るまでを振り返る小説になっている。

 僕自身、そこまで研究にのめりこんでいるかと問われるとはなはだ疑問なのだけれど、立場的には似たような状況にあるので、
 気持ち的にわかる部分も多いし、ドキッとする言葉も多い。

 立場とか生活とかを抜きにした研究者というものの純粋な幸せと立場とか生活による純粋な幸せのゆがみ。

 関係ない人であれば少し距離を置いて読める小説なのだとおもうのだけれど、僕にとっては少し立場が近すぎて時々読み返したくなる小説であった。

喜嶋先生の静かな世界 The Silent World of Dr.Kishima

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メディア掲載レビューほか

孤独と引き換えに、研究者が手に入れたすごく素敵なこと 森博嗣のノンシリーズ長篇『喜嶋先生の静かな世界』は、学問という行為について書かれた美しい小説だ。 文字を読むことが苦手だった〈僕〉こと橋場は、好きな数学と物理で国立大学の入試を突破しようと考え、見事に成功する。だが、大学の講義は高校授業の延長に近く、彼の期待したようなものではなかった。すっかり失望した〈僕〉だったが、四年生になって研究室に配属されたことで転機を迎える。卒論指導で出会ったのは、それまで知っていた勉強のやり方とまったく違う思想だったのだ。 助手の喜嶋先生から薫陶を受けた〈僕〉は、研究者という第二の自我を獲得していく。生活のすべてを目の前の研究課題に打ち込み、それこそ息をするのももどかしいというほどに熱中する。しかし、学部から院に進めば、自由と引き換えに研究者はどんどん孤独になっていく。光り輝くゴールなどどこにもなく、どこに進むべきかは、暗闇の中で自分自身と対話しながら決めていかなければいけないのだ。しかも研究には終わりがない。そのことに疲れ、脱落する者も後を絶たないが、〈僕〉は喜嶋先生とこんな会話を交わすのである。 「この問題が解決したら、どうなるんですか?」 「もう少し難しい問題が把握できる」 喜嶋先生は研究者の純粋さを体現する人物で、その態度は徹底している。これほどまでに一つのことに打ち込めるものか、と感銘を受ける読者は多いはずだ。楽な道へ迂回したくなったとき、生活のためだから、と妥協の言い訳を呟きたくなったとき、私はそっとこの小説を取り出して読む。これから大学に進もうという若者にも、ぜひ手に取ってもらいたい。(恋) 評者:徹夜本研究会 (週刊文春 2017.11.2号掲載)

内容紹介 文字を読むことが不得意で、勉強が大嫌いだった僕。大学4年のとき卒論のために配属された喜嶋研究室での出会いが、僕のその後の人生を大きく変えていく。寝食を忘れるほど没頭した研究、初めての恋、珠玉の喜嶋語録の数々。学問の深遠さと研究の純粋さを描いて、読む者に深く静かな感動を呼ぶ自伝的小説。 感動に包まれる自伝的小説 文字を読むことが不得意で、勉強が大嫌いだった僕。大学4年のとき卒論のために配属された喜嶋研究室での出会いが、僕のその後の人生を大きく変えていく。寝食を忘れるほど没頭した研究、初めての恋、珠玉の喜嶋語録の数々。学問の深遠さと研究の純粋さを描いて、読む者に深く静かな感動を呼ぶ自伝的小説。

内容(「BOOK」データベースより) 文字を読むことが不得意で、勉強が大嫌いだった僕。大学4年のとき卒論のために配属された喜嶋研究室での出会いが、僕のその後の人生を大きく変えていく。寝食を忘れるほど没頭した研究、初めての恋、珠玉の喜嶋語録の数々。学問の深遠さと研究の純粋さを描いて、読む者に深く静かな感動を呼ぶ自伝的小説。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 森/博嗣 1957年愛知県生まれ。工学博士。某国立大学の工学部助教授の傍ら1996年、『すべてがFになる』(講談社文庫)で第1回メフィスト賞を受賞し、衝撃デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  
 
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