|
|
「クルーグマン教授の経済入門」(ポールクルーグマン 山形浩生訳)、書評分かっているということは、難しいことをできるだけ平易な言葉でいえるということだと思う。 物事を難しくしかいえない人は、結局そのことを理解できていないのではないかと思えるのだ。 その意味で、この本は経済のことをとてもよく分かった人が書いた本だと思う。 著者であるクルーグマン教授は、マサチューセッツ工科大学教授、スタンフォード大学教授などを歴任されてきた気鋭の経済学者であり、ノーベル経済学賞の最右翼候補であるそうだ。 また、本書は、訳者である山形浩生氏が、とても口語的で平たい訳をしてくださっている。 本書によると経済で最も重要な概念は生産性と所得配分と失業だけである。 そのため、本書では、その三つのことを中心的に据え、他のことをそれに付随させる形で説明している。 ざっくり言うと、これら三つの概念が大切なのは次のような理由から。 生産性を何で上げないといけないかというと、生産性を上げることでしか実質的に生活水準を向上させることが出来ないから。 所得配分が大事なのは、それがうまくいかないと所得格差が広がっちゃうから。 失業は、もちろん仕事がなくなっちゃったら、お金を稼ぐ手段がなくなる人が出ちゃうため、社会不安が起こるから。 だから、本書では経済学で解決しなければならない問題を上記の三つに置いている。 で、例えば、貿易赤字とかは、アメリカと日本の間の問題としてやたらに取り上げられるけど、実際には大したことではないだとか、 インフレは、すごく悪いものだと思われているけど、よくよく考えてみるとそんなことはないだとか、 そんな様々な話題が、いろんな視点から取り上げられている。 こういう本は、経済の中で何が問題なのかという視点をクリアに与えてくれるのですごく役に立つ。 経済に興味はあるけど、難しい数式を使わずに理解したい人によい本である。
|
Copyright(C) 2002 - Mitsuharu Matsumoto All rights reserved.