マクロからミクロへ 村上龍
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 「マクロからミクロへ」(村上龍)、書評

 正式なタイトルは「マクロ・日本経済からミクロ・あなた自身へ」

 JMMという村上龍氏が運営しているメールマガジンを一冊の本にまとめたものである。

 以前から何度か書いているように、「トパーズ」、「限りなく透明に近いブルー」を初めとする村上龍氏の文章は苦手だったのだけれど、「希望の国のエクソダス」を読んで以降、その認識が変わりつつある。

 多分、村上龍氏の書くものの中でも、経済ものは結構好きだ。

 本書は基本的には、経済エッセイであり、日本というマクロの視点での議論から、ミクロな視点へと移行していくという大きな流れを持ちながら、その時々で氏の思うところをつづっている。

 結構おもしろかった。

 なお、最近では、氏の作品である「13歳のハローワーク」がベストセラーになっている。

 経済にかなり大きな興味をもたれている印象である。

マクロからミクロへ 村上龍

マクロ・日本経済からミクロ・あなた自身へ

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読者数10万人(2002年時点)を誇る村上龍のメールマガジン「JMM」の人気エッセイが1冊の本になった。『だまされないために、わたしは経済を学んだ』の続編となる本書では、「日本経済をどうするか」といったあいまいなマクロの議論ではなく、個人や企業がどう考え、どう動くか、といったミクロの問題を主に扱っている。
おもしろいのは、大方のメディアが利害関係を隠しながら情報発信をしているのに対し、JMMでは、利害関係をはっきり謳って、そのうえで私見を語っていること。本書に掲載されたエッセイでもその姿勢は貫かれており、取り上げられる政治・経済の諸問題に関して、関係者の利害を明らかにしたうえで議論を展開している。単なる情報提供ではなく、読者に考えさせる内容になっている点が特徴だ。

登場する政治・経済関連のトピックは、日本の構造改革や雇用問題、デフレ、個人の資産運用、9.11後のアメリカの軍事行動など。あいまいな議論を避け、問題の明確化・利害関係の明確化を徹底することで、具体的に議論を進めている。

著者自身がメディアに詳しいこともあり、マスコミ報道に関しては、とくに興味深い指摘がなされている。世の中の動きとそれを伝えるメディアに関心を向けることで、個人の問題意識を高めてくれる、そんな本である。(土井英司)

出版社/著者からの内容紹介
「ひょっとしたら、日本経済の再生より、個別の企業や個別の地方自治体の再建、個人資産を守ることのほうがより重要なのではないかと思い始めているところです。」村上龍

マクロからミクロへ。
混迷する日本経済を凝視し続けてきた作家・村上龍が、主宰するメールマガジンJMMにおいて、編集長として到達した新たなパースペクティブ。

  
 
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