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「マハーバーラタ―インド千夜一夜物語」(山際素男)、書評マハーバーラタは、全十八巻、十万詩節、二十万行を超える文章からなる世界屈指の長編叙事詩である。 「ここにあるもの全ては何処にもあり、ここに無いもの全ては何処にも無い」 そんな前書きから始まる古代インドの物語なのだそうだ。 訳者である山際氏は、本書マハーバーラタを日本に初めて紹介した訳者である。 ついこの間まで、本書の存在を僕は全く知らなかったのだが、複数の知人に強く勧められ、たまたま見つけたので、手にとった一冊である。 山際氏が訳したマハーバーラタの全訳は9巻からなっているのだが、実のところ、僕はまだそれをまだ読んでいない。 本書は、そのマハーバーラタから、山際氏が16の物語を選び、一冊の本としてまとめたものである。 とりあえず、物語の一部にでも触れて雰囲気を掴んでみたかったのだ。 いわゆる子供にも聞かせるための物語というよりも、かなり俗的な話が多い。 どうやら聖人であるらしい大聖仙や、神様たちも、女を抱き、嫉妬し、わがままに生きている。 その辺、千夜一夜物語というよりは、むしろギリシャ神話に近いかもしれない。 善とか悪とかそういうことを超えた主人公達は、すごく人間臭くて、子供よりもむしろ大人が読むと面白いかもしれない。
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